血に濡れた剣を持ちながら彼の名を呼び、振り返ると自分の声は途切れる。
鮮血の血を吹き出しながらスローモーションみたいにふらふらりとゆっくりと地面に倒れていく彼の姿が黄色い目によく映えたように移る。
「大先生!」
喉を閉めたような声を絞り出して彼に向かって駆け寄る。何度もタバコを加えてるのを見た口からはどくどくと血が絶え間なく流れて彼はこちらを虚ろな目で見つめてへにゃりと笑う。
「ごめ…ん…しゃお…ちゃ…ん…ヘマ…した…わ」
そんな顔で笑わないでくれ。ぼたぼたと彼の顔に涙が降り掛かっても彼は一切嫌そうな顔をせずに頬に手を合わせて絞り出したような声を出す。
「俺は…死ぬん…やな…」
腹からどくどくと血が溢れてるのを気にもとめずまるで覚悟してないような顔でふわふわとした口調で言う。
「そ、そんなこと…」
「いや…死ぬんや…」
そう言って彼は少し切なそうに目を細める。
「…お前らと…お前と…シャオロンと…居れて…よかったわ」
ふわりと笑っていつの間にやら自分の頬に添えられた手が糸切れたかのように地面に落ちる。
「や、やだ…」
震えた声で呟いても青色の時間はもう戻らない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。