「っはは」
かわいた笑い声が部屋に響く。
(青がかった小部屋のドロドロの内蔵物をレントゲン越しに見てみたいわ。どうせすかすかよ。
ねぇ許してよ?いえいえ分からない?ひらがなやからむずかしいかあほう。まぁええわ。
へらへらへらへらへらへら笑顔で愛想は目玉に植え込んでおきましょうか。なんでしたっけ?あーお前風に言うとすまいりんぐれいしっくやな。
くらくらの脳内で点灯するお前らが1番うざったいわ。その蛍光灯にたかる虫に殺虫剤を振りかけて地に落ちた虫をかしゃかしゃと音がするゴミ袋に入れて部屋の隅に蠢く虫に向かって当て当てゲーム。わー景品はぐちゃぐちゃの残死体ですね。おめでたいわクソが。
フラフラと歩きながら光から漏れてでる冷蔵庫の光をあびる。眩し。缶ビールを取り出して弱い炭酸を喉に流し込むんで椅子にふわりと座り込む。
短冊にさえ素直になれぬ愚者は弱々しい電気の光をあびたよ。なんとなく憂いにそまる。
暗闇の中でチカチカなる携帯の着信音に好きとか言う初々しい言葉を剥いで踊らせて喉で磨り潰したの。ドロドロの愛してるの方が僕にを似合いやろ。あーそういうの辞めてや。僕のあいでんてぃてぃを殺さないでおくれ。クズなのは自己が見えない僕への照明です。
そんな優しさ僕達には不要だろ。いや僕だけか。僕は優しくされることも優しくすることも出来ないらしいです。これは無能なクズの証拠でしょ。それでいいだろ。されど好いて欲しかったりしてなんてね。ごめんな。こんなこんなこんな情けなくて面倒臭いやつで。でもこれらぜんぶあたまのなかやからだいじょうぶ?)
軽く耳を撫でる電子音。足を胸に抱えて電話に出る。
「なぁ大先生大丈夫か?」
吐き気。
「大丈夫やでなんや、いきなり」
嘘。安心感につかの間脳を浸した。
「ほんまは?」
ごめんなさい。嘘なんかつけない。嘘をつけるのは僕のキャラであってクズもカッコイイ無能も全部キャラ本当はこんなに面倒くさい阿呆。
「大先生は大丈夫やで」
ふわりと言う。
そんなに世界はドラマチックな舞台じゃないから泣けるわけがないのよ。
「じゃあお前は?」
あ、俺?
「大丈夫なわけないやろ」
途絶える声。電話を水に浸した。
どうですかこんな結末美味ですか?
貴方のせいですよ。嘘。僕のせいやわ。
そう言い残し羽の生えていない虫は空を飛んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。