第10話

樹のために③
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2022/02/28 14:25
(juri side)

蘭ちゃんが囚われた倉庫に俺らは到着した。

北「ここからは、慎重に。」

そう、足音をなるべく立てないように、倉庫の中を除くと


樹「っ!!!!」

そこには、服が破れ、おそらく何度も殴られたであろうボロボロの姿の、蘭ちゃん。

息もか細くなっている。

慎「俺、許せねぇ!!!」

その合図で、倉庫の扉を破り、奴らの元へ殴り込みに行こうとしたとき、

ドカン!!バン!!!どん!!!

男「ウワ!!!」
男「イテテ!!!」

男「なにもんだ……、」


他5人「はっ……??」

さっきまで、いかにも死にそうな蘭ちゃんが

周りにいた奴らを蹴散らして、


先輩「こいつ!!!っ!!!」

樹を苦しめた先輩の腕をひねり上げていた。

蘭「やっと、来ましたか。遅いですよ。思いのほか、痛い目に遭ってしまったじゃないですか。」

やばい、これは、後で怒られる。

俺らは、危機感を覚えた。

蘭「んで?テメェは、なぜ聖に薬を売った?」

そう聞くと、ハッと笑い

先輩「邪魔だったから、あんなに素行が悪い聖が、グループで人気あんのも、その人気に乗っかって、樹が調子乗ってんのも。」

その言葉に、髙地が「お前!!」とつっかかりそうになったとき

蘭「髙地さん、今あなたがここで殴ったら、こいつと同じところまで堕ちますよ!」

という言葉とともに、

蘭「一つあなた勘違いしてますね。聖さんは、確かにあまり良くない噂は多いですが、彼は彼なりに、自分に与えられた仕事に真摯に向き合っています。樹は調子になってなんかない。毎日、遅くまで、ダンス野練習、自分の武器であるラップを、ご自身の納得いくまで突き詰めています。勘違いも甚だしい。一番、調子に乗って、人間として汚いのは、てめぇだ!!!」

さっきよりも、ひねり上げが強くなり

蘭「警察の方々?これ、暴力じゃなくて、正当防衛ですよね?」

すでに入口付近に到着していた警察。

みんな首を縦に振っている。

蘭「じゃ、先輩。地獄へ堕ちろ」

その言葉とともに、先輩の腕があらぬ方向に曲がり、

ズコーーーん。

蘭ちゃんの、怒りがこもった拳が、先輩の顔面に直撃した。




ということがあって、蘭ちゃんの証拠も警察に渡り、先輩はパトカーに乗せられ連行されていった。


なにあれ、俺らのマネージャーかっこよすぎる。


すべてが、去ると、蘭ちゃんがこちらに近づいてくる。

蘭「なんですか??その顔は。それより、引きましたよね。すみません。昔の血が、黙ってられないんですよ。」


昔の血?

蘭「あ。それ以上はプライバシーに関することなので、黙秘で。樹さん、聖さんは大事です。優しいお兄さんですから。」

俺の頭をグシャっと撫で、

蘭「ちょっと、喉乾いたので、自販機探してきますね。」

とだけ行って、あるき出そうとしたときだった。

ふらっと体が傾いたと思うと、

その傷だらけの体が、俺のもとに倒れ込んできた。


樹「え?おい、蘭ちゃん?蘭ちゃん!??」

その言葉に、応えるかのように、蘭ちゃんの口から

蘭「ゲホッ、」

血が流れ出した。

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