(juri side)
蘭ちゃんが囚われた倉庫に俺らは到着した。
北「ここからは、慎重に。」
そう、足音をなるべく立てないように、倉庫の中を除くと
樹「っ!!!!」
そこには、服が破れ、おそらく何度も殴られたであろうボロボロの姿の、蘭ちゃん。
息もか細くなっている。
慎「俺、許せねぇ!!!」
その合図で、倉庫の扉を破り、奴らの元へ殴り込みに行こうとしたとき、
ドカン!!バン!!!どん!!!
男「ウワ!!!」
男「イテテ!!!」
男「なにもんだ……、」
他5人「はっ……??」
さっきまで、いかにも死にそうな蘭ちゃんが
周りにいた奴らを蹴散らして、
先輩「こいつ!!!っ!!!」
樹を苦しめた先輩の腕をひねり上げていた。
蘭「やっと、来ましたか。遅いですよ。思いのほか、痛い目に遭ってしまったじゃないですか。」
やばい、これは、後で怒られる。
俺らは、危機感を覚えた。
蘭「んで?テメェは、なぜ聖に薬を売った?」
そう聞くと、ハッと笑い
先輩「邪魔だったから、あんなに素行が悪い聖が、グループで人気あんのも、その人気に乗っかって、樹が調子乗ってんのも。」
その言葉に、髙地が「お前!!」とつっかかりそうになったとき
蘭「髙地さん、今あなたがここで殴ったら、こいつと同じところまで堕ちますよ!」
という言葉とともに、
蘭「一つあなた勘違いしてますね。聖さんは、確かにあまり良くない噂は多いですが、彼は彼なりに、自分に与えられた仕事に真摯に向き合っています。樹は調子になってなんかない。毎日、遅くまで、ダンス野練習、自分の武器であるラップを、ご自身の納得いくまで突き詰めています。勘違いも甚だしい。一番、調子に乗って、人間として汚いのは、てめぇだ!!!」
さっきよりも、ひねり上げが強くなり
蘭「警察の方々?これ、暴力じゃなくて、正当防衛ですよね?」
すでに入口付近に到着していた警察。
みんな首を縦に振っている。
蘭「じゃ、先輩。地獄へ堕ちろ」
その言葉とともに、先輩の腕があらぬ方向に曲がり、
ズコーーーん。
蘭ちゃんの、怒りがこもった拳が、先輩の顔面に直撃した。
ということがあって、蘭ちゃんの証拠も警察に渡り、先輩はパトカーに乗せられ連行されていった。
なにあれ、俺らのマネージャーかっこよすぎる。
すべてが、去ると、蘭ちゃんがこちらに近づいてくる。
蘭「なんですか??その顔は。それより、引きましたよね。すみません。昔の血が、黙ってられないんですよ。」
昔の血?
蘭「あ。それ以上はプライバシーに関することなので、黙秘で。樹さん、聖さんは大事です。優しいお兄さんですから。」
俺の頭をグシャっと撫で、
蘭「ちょっと、喉乾いたので、自販機探してきますね。」
とだけ行って、あるき出そうとしたときだった。
ふらっと体が傾いたと思うと、
その傷だらけの体が、俺のもとに倒れ込んできた。
樹「え?おい、蘭ちゃん?蘭ちゃん!??」
その言葉に、応えるかのように、蘭ちゃんの口から
蘭「ゲホッ、」
血が流れ出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!