第6話

助けたい思い
994
2022/02/19 14:51
(慎太郎 side)

樹の一件は、数年前の俺のときに非常に似ていた。

俺の兄も、不祥事で干され、ただえさえ特別扱いをされていた俺に対する目は厳しくなったことがあった。

あのときは、樹が盾となって、また他のメンバーも同じく味方ていてくれた。

だからこそ、今度は俺が樹を助けるんだ。

でも、俺は何もできなかった。

樹が裏で、先輩に暴言を吐かれたり、ボコボコにされても、

お前の兄も同じようなもんだろ? 

そんなこと言われ、余計に樹に迷惑がかかるのではないかと思い、怖くて何もできず、その前を通り過ぎてしまった。


そんなことが続く中、ある日を境に、樹はレッスンに来なくなった。

電話しても、

「あ〜、今日は、ママ体調悪くてさ、だからごめん。」

なんて、バレバレの嘘をついて。


ジェ「樹、こないね。」

北「なんか、最近無理してる感あったもんね。」


あ、これ、俺のせいかもしれない。

みんなは、俺が見た光景を知らない。

樹が、どんなことをされてたか。


この気持ちをどうしたらいい??

そう思ったときだった。

顔を上げた瞬間、俺らのマネージャーと目が合った。

この間のきょものこともあったし、相談してみようかな。

そう思って、俺は

慎「一ノ瀬さん、いまお時間よろしいですか?」

そう聞いた彼女は、この時を待っていたかのように首を縦に振って、

蘭「はい。人があまりいないところに行きましょうか?」

と言った。



プリ小説オーディオドラマ