(慎太郎 side)
あのあと、樹の身に何があったのか、どうして今の状況になってしまったのか、俺の気持ちも含めて、すべてを彼女に話した。
それを聞いた彼女は、
蘭「それで、私にどうしてほしいですか?」
そう俺に聞いた。
そりゃあ、もちろん、
慎「この間のきょものように、助けてほしいです。」
そう答えた。でも返ってきたのは厳しい意見だった。
蘭「それで、森本さんは本当にいいんですか?結局慎太郎さんは、過去に縛られて大切なメンバーを助けることができなかったことになりますけど」
図星をつかれ、ドキッとした。
それと同時に、どうしょうもない怒りがこみ上げて、
慎「じゃあ、どうしろっていうんだよ!!俺だって、何度も助けようって思った。でも!お前はオレたちのマネージャーだろ??きょものときと樹のときと何が違うんだよ!!」
マネージャーに当たってしまった。
はぁ〜とため息をついた彼女は、
蘭「私、助けないなんて一言も言ってないですけど。それに、」
こう言って、おれに一つの小さな端末を投げてきた。
蘭「田中さんへの暴言、暴力は音声でも動画でも証拠は掴んでます。」
そういった。
慎「知ってたんなら、なんで……」
そういったときだった。
他四人「慎太郎!!!!」
きょも、こーち、ジェシー、北斗
みんなが俺のもとに駆け寄ってくる。
慎「みんな、なんで……」
大「蘭から聞いたよ。樹助けるんでしょ?」
ジェ「慎太郎は、一人で抱え込みすぎ。俺ら仲間でしょ?不安なことは共有しないと。」
髙「最年少が一人で何でもできると思うなよ??笑」
温かい言葉をかけてくれた。
北「で、慎太郎、まだなんか話聞いてた途中?マネージャーの顔歪んでるけど。」
あ、やべ。
蘭「北斗さん、それは心外です。森本さん、先程の答えですけど、私は別に樹さんを助けなかった訳じゃないんです。ただ、やるなら徹底的にと思って。」
みんながひゅっと息を吸う。
蘭「あの主犯者であろう、先輩ですが、彼は過去に不祥事を起こして、謹慎処分を受けています。でも、なぜそれでいても何も問題なく活動を続けているのか、それは、彼の父が大手プロダクションの社長の息子だからです。彼の気に障るようなことをしたら、仕事にも影響してくるでょう。だから、知ってて知らないふりを他の人もしてたわけです。」
北「その情報はどこから??」
不審げな目をマネージャーに向けた北斗。
蘭「まぁ、昔のつてで、特別に。でも今回の件は決して許されることではありません。これで、彼のアイドルとしての道は絶たれるでしょう。だって彼は」
その後つぶやかれた言葉に衝撃が走った。
蘭「田中さんのお兄さんに、薬を売った張本人なんですから。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。