その次の日
起きると海人くんの姿はなかった。
いつもなら家の中をパタパタと走る音がするのに
今日は全くしなかった
むしろ人の気配もしなかった
海ちゃんが使ってる部屋を覗くと綺麗に
片付いており。
服屋やら家具など
何も無かった
私が寂しく過ごしていた
1人の生活にもどったのだ。
元に戻っただけ
私にそう言い聞かせるけど
なかなか体は言うことを聞かなかった
ダメだ
何も出来ない
水を飲もうとリビングに行った
冷蔵庫をあけると
海人くんがこだわって使っていた調味料
お気に入りだったアイスクリーム
買い溜めされたチーズかまぼこ
冷凍保存しておいたピーマンの肉ずめ
それを見ると
海人くんと過ごした思い出がひとつひとつ
溢れ出てきた。
涙が止まらなかった
やっぱり 離れるのは嫌だった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!