さとみさんと付き合ってから約3週間が立つ。
るぅとくんとは、いつも通りに接している。
こうして私たちは駅まで一緒に帰る
だけ。
なにも進展はしていなくて、ただ一緒に帰ってるだけ。
慎重…なのかもしれない。
きっとゆっくり進展してく。
きっとそうだ。
もう駅は直ぐそこ。
ここでバイバイして、また明日も同じことをするんだろう。
さくらとななもりさん、…何してるんだろう。
ポカーンとさくらの方を眺めていると、
ななもりさんの首に腕を回し、キスしている光景が目に飛び込んできた。
私とさとみさんは同時に立ち止まってしまった。
さくらとななもりさん、…いつのまに付き合ってたの?
でもさくらからはそんなこと一言も言われていない。
私の顎を上に向けた。
これは……確か、顎クイってやつだ。
いつも通りなのには少し飽きていたはずなのに、いざこの場となると、恥ずかしくてもう言葉で表せれなくなる。
顎に触れていた手はゆっくりと耳の方まできて、同時に頬っぺたまで支えた。
私が戸惑ってる間にリップ音は鳴り終えた。
さとみさんはこんなじゃないはず。
いつもは冷静で、どこかクールで、…かっこよくて……
なのに今だけは私に攻撃してくる。
これが………えす(S)?
さとみさんの手を受け取って、指を絡ませた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!