莉犬くんが来てから約1週間
という今日、莉犬くんに衝撃的なことを言われた。
2人は手を繋いで戻って行った。
呆然と立ち尽くしていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
さくらはたまに、よく分からないことを言う。
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お昼を食べ終わり、パソコンの前に座る。
最近、仕事が楽しくて仕方がない。
さとみさんは私を連れて資料室へ入った。
資料室には、大きな本棚にたくさんの紙やファイルが詰め込んである。
私は、本棚に背中をピタリと付けられ、さとみさんが私の顎を軽く上げた。
唇は重なり、リップ音が短く鳴る。
舌が口の中で絡まり、いやらしい音がする。
さとみさんの胸をドンドン叩くと、物足りなさそうに唇をゆっくり離した。
なんど言われても飽きないこの言葉。
そんなに特別な言葉なのだろうか。
いや違う。
特別な人に言われるから特別な言葉になるんだ。
上司に呼ばれていると言って、さとみさんは資料室を出ていった。
まだ潤っている唇に手を当てながらさとみさんのことを考えていると、
本棚の脇から犬がひょっこりと出てきた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。