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第8話

卒業式
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2018/03/05 10:10
私は、なつが先輩と過ごすように言ってくれた日から今日まで、毎日、放課後は先輩と過ごした。

先輩といろんなことを話せて、すごく楽しかった。

「先輩はなんで女子校に来たんですか?」

「女好きだから!笑」

「えー!そうなんですか??笑笑」

とか、いろいろ。
卒業式。

私は先輩を探す。

どこかな~?

入場してくる列の中を必死に見る。


あっ!ひなた先輩!!


今日はスカートかぁ。

似合わないなー。笑


式がつまらないのは言うまでもなく、それでも私は、この時間が続いてほしいと願った。

これが終わったら、先輩が学校からいなくなっちゃうんだもん…


そんな私の願いは叶うはずがなく、式は終わった。

先輩が退場していく。

涙をこらえられなかった。

先輩との楽しい日々がよみがえる。


なつは、涙を流す私の肩にそっと手を置いてくれた。
下校の時間になって、私は急いで先輩を探した。

玄関にはいなくて、まだ靴も置いてあった。

教室ももう誰もいない。


放送室…!!

きっとそうだ。

走って放送室に駆け込んだ。
ひなた
遅いなー。笑
さくら
すみません!
約束してなかったから探しましたよー!
ひなた
来てくれてよかった。
放送室が1番思い出深いかなとか思って。笑
そう言うと先輩は、両手をグーにして私の前に出した。
ひなた
どっちでしょー?
当てたらボタンあげる。
さくら
えー!どっちだろ?
左!
ひなた先輩は両手を開く。
ひなた
ハズレ~。
残念。笑
さくら
えー!
欲しかったのに!!
ひなた
ハズレはハズレ!
あげないよ~!
さくら
えー、ケチ。
ひなた
別にボタンなんかあげなくても、すぐまた会えるし。
ほんとに、会えるのかな?

会わなかったら、その間に、他に好きな人ができちゃうかも…

私は表情を曇らせた。
ひなた
さくら?
大丈夫だって!
さくら
でも…
泣かないって決めてたのに。

涙が勝手に溢れ出す。


先輩は、優しくぎゅってしてくれた。

そして、耳元でささやいた。
ひなた
これからもずっと、好きでいさせて。
さくら
好きでいてください。
約束ですよ。
私たちは見つめ合った。
ひなた
俺は今日で卒業だけど、絶対会おうな。
これからも。
さくら
うん。絶対。
そのままの私を受け入れてくれる君たちが好き。
ひなた先輩も、なつも。

だから私も、そのままの君たちを受け入れるよ。

そのままの君が好きだから。

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