私は、なつが先輩と過ごすように言ってくれた日から今日まで、毎日、放課後は先輩と過ごした。
先輩といろんなことを話せて、すごく楽しかった。
「先輩はなんで女子校に来たんですか?」
「女好きだから!笑」
「えー!そうなんですか??笑笑」
とか、いろいろ。
卒業式。
私は先輩を探す。
どこかな~?
入場してくる列の中を必死に見る。
あっ!ひなた先輩!!
今日はスカートかぁ。
似合わないなー。笑
式がつまらないのは言うまでもなく、それでも私は、この時間が続いてほしいと願った。
これが終わったら、先輩が学校からいなくなっちゃうんだもん…
そんな私の願いは叶うはずがなく、式は終わった。
先輩が退場していく。
涙をこらえられなかった。
先輩との楽しい日々がよみがえる。
なつは、涙を流す私の肩にそっと手を置いてくれた。
下校の時間になって、私は急いで先輩を探した。
玄関にはいなくて、まだ靴も置いてあった。
教室ももう誰もいない。
放送室…!!
きっとそうだ。
走って放送室に駆け込んだ。
そう言うと先輩は、両手をグーにして私の前に出した。
ひなた先輩は両手を開く。
ほんとに、会えるのかな?
会わなかったら、その間に、他に好きな人ができちゃうかも…
私は表情を曇らせた。
泣かないって決めてたのに。
涙が勝手に溢れ出す。
先輩は、優しくぎゅってしてくれた。
そして、耳元でささやいた。
私たちは見つめ合った。
そのままの私を受け入れてくれる君たちが好き。
ひなた先輩も、なつも。
だから私も、そのままの君たちを受け入れるよ。
そのままの君が好きだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!