卒業式まであと2週間。
先輩が卒業しても、私たちは今のままの関係でいられるのかな?
先輩は、卒業したらどこかに就職するらしい。
どこか、っていうのは、教えてくれなかったけど…
私は、なつにも先輩とのことを隠したまま、ここまで来てしまった。
だから、相談できない。
先輩が卒業しちゃうのに、私は何もできない。
嫌だな…
どうすればいいの?
何かを察したように、なつはニヤけて言った。
びっくりした。
言ってないのに、なんで?
もしかして、一緒にいるとこ見られた!?
私となつは幼なじみ。
保育園からずっと一緒。
そう考えたら、なんで私、なつに隠してたんだろ…
私はうつむいた。
私は走った。
走って、先輩のところに行った。
なつ、ほんとにありがとう。
私はなんていい親友を持ったんだろう。
私が恋した相手が女子だとしても、なつは優しく受け入れてくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!