『 もう卒業式だね 』
黒板の隅のカウントダウンを見ながら、悠稀が呟いた。
『 そうだね〜 』
いつも通りの明るい笑顔を輝かせながら彩月もそう言った。
『 はや、すぎない? 』
泣き虫のこころはまた泣きだしそうな顔をして言った。
私は、ただその会話を聞いていた。
黒板の隅に書かれたカウントダウン。
そこに書かれた数字は__
【 卒業式 まで あと 1日 !
あした は とうとう 卒業式 ですね 】
担任の西浦先生が書いた、いつも通りの
綺麗な字の中に、悲しさがあらわれる、
らしくない震えた字だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。