『 あー、もう終わっちゃったね 』
放課後、教室。
私たち4人は、まだ教室に残っていた。
『 もう、明日で最後なんだね...っ 』
また、こころは泣きだしそうな顔をした。
『 もう、こころ、落ち着いて〜 』
彩月はそう言ってまた笑った。
こころと彩月は幼なじみで、ふたりは同じ小学校だった。
悠稀は小学校は他県で、私と悠稀は1年のときに同じクラスになって仲良くなったんだよな
『 あー、懐かしいなあ 』
私がいきなりそう言ったから、悠稀は不思議そうな顔でこっちを見ていた。
『 なに、いきなり 』
すこし笑いながら悠稀はそう言った。
『 ううん?ただ、悠稀とはじめて話したときのこと思い出してただけ 』
そう言って悠稀の方を向けば、悠稀まで泣きだしそうな顔をしていて。
『 ねぇ、まって嘘でしょ?
ちょっと彩月、こっちもおねがーい 』
『 え、むりむり!
こころもう泣き出しちゃったよ〜 』
彩月に宥めてもらおうと思ったのに、こころはまだ式の本番じゃないって言うのに顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
『 だっ、て、優衣が、
いきなり、そんなこと言うからあ! 』
悠稀は、そう言って目に涙をためた。
私はたまらず笑い出しちゃって、それにつられた彩月も笑って、こころはわんわん泣いてたけど、悠稀も涙を零しながら、笑った。
ああ、こんな日々も、“ おわり ” なんだな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!