翌日…
ねぇ、翠
んー?
お願いがあるんだけど…良いかな?
蒼の願い事は、一旦お預けにしたはずだよ?
そうじゃなくて…本当にちょっとしたお願い
じゃあなぁに?
1回…私の教室に来てくれない?
…!
あっ…もしかして、このトイレから出られないとか…?
それならいi____
いや、蒼の教室には行けるよ
私の行動範囲は
この「学園内」だからね
…!それじゃあ…
でも、蒼の願い事は聞けない
な、なんで?
言ったよね?
『私はもう立派な「怪異」になった』って…
だから、蒼の教室に行っても
私の姿が見えるのは霊感の強いごく一部…
いや、誰一人見えないかもしれない…
もし誰も私の姿を見れなかったなら
蒼は「クラスメイトが亡くなったショックでおかしなモノが見えるようになってしまった可哀想な人」扱いされちゃうよ?
それに、私は人間の頃の記憶がない
クラスメイトの顔誰一人覚えていないの
蒼の事だって、最初会った時は「知らない」って言ったでしょ?
…っ
諦めた方が身のためだよ
でも…!
皆は翠の事忘れてなんかない!
バッ
!
スッ…
え…透けた…?
なんで…
確かに掴もうとしたのに…
私は蒼達の言葉で言うと「幽霊」なの
普通の人間と幽霊が触れ合えるわけないよ
…
…っ!
お願い!少しでいいから私の教室に来て!
いや…あおi
お願い!
…(。´-д-)ハァ-
…分かった
少しだけだよ?
…!
ありがとう!
…ε=(・д・`*)ハァ…
(なんだかんだで)
(私は蒼に甘いのかな…)
(本当は、人間と怪異が必要以上に関わることは許されない)
(でも、この声や笑顔を見ていると)
(そういうのがどうでも良くなる…)
(この感情は、「最後」までとっておこうかな…)
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。