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第16話

失恋と雨
鏡の中の自分は、ゆるハーフアップヘア。
唯月くんのおかげで、いつもより可愛くなった自分。

……そして、
中条 唯月
中条 唯月
今ならまだ間に合う。
……行ってこいよ
中条 光
中条 光
がんばれ、ゆゆちゃん!
自分の殻なんて破っちゃえ
私の背中を押す声がする。

……ギュッと強く強く拳を握りしめて、私は2人に小さく頷いた。
松田 結々花
松田 結々花
私、行ってきます
もう、"私なんか"なんて言いたくないから。
……2人が私を選んでくれたことに、もっと自信を持てるように。
***

───もう帰っちゃったかな?

生徒玄関には、志賀先輩の姿は見当たらない。
いつもなら、この辺りで友達と話してるのをよく見かけるのに……。
松田 結々花
松田 結々花
……あ、
生徒玄関を出たところで、校門に向かって歩く志賀先輩の後ろ姿を見つけて、私の心臓がドキドキドキドキと早鐘を打つ。

あぁ、どうしよう。
今さらになってどうしようもなく緊張して来た。
松田 結々花
松田 結々花
……し、志賀先輩!
だけど、今度こそ自分の殻を破りたい。
その想いが私を突き動かす。
志賀 悠燈
志賀 悠燈
……?
私の声に振り向いた志賀先輩は、私に気づいて直ぐに笑顔で手を振ってくれる。

……その優しい顔に、心臓は痛いくらい軋んでいる。
志賀 悠燈
志賀 悠燈
どうかした?
あ、また委員会の、
松田 結々花
松田 結々花
そ、そうじゃなくて!
……あの、今日は、その
志賀 悠燈
志賀 悠燈
……うん?
松田 結々花
松田 結々花
私……、志賀先輩のことが
好き、みたいなんです!
自分でも分かるほど、曖昧な告白。
好きみたい……なんて、良く分からない言葉を口にして、恥ずかしさから思いっきり俯いた。
志賀 悠燈
志賀 悠燈
え……俺?
驚いている志賀先輩の声に、俯いたままコクコクと数回頷く。

あぁ、どうしよう……。
今すぐ走って、ここから逃げ出したい。
志賀 悠燈
志賀 悠燈
松田の気持ち、すげぇ嬉しい!
ありがとう
松田 結々花
松田 結々花
……志賀先輩
志賀 悠燈
志賀 悠燈
でも、ごめん!
……俺、あんま知られてないけど
志賀 悠燈
志賀 悠燈
…… 実は他校に彼女がいるんだ
松田 結々花
松田 結々花
……え、
顔を上げればぶつかる視線。

少し困った顔で私を見つめていた志賀先輩は、申し訳なさそうに頭を下げて見せた。
***

───ザーーーッ。

志賀先輩の後ろ姿を見送ってすぐ、大粒の雨が容赦なく降り出して。

傘なんて持っていない私を、どんどん濡らしていく。
松田 結々花
松田 結々花
……っ、
多分、これが失恋。

やっと恋を見つけたと思ったのに、その矢先に失恋なんて……。やっぱり、私なんかが恋をしちゃダメだったのかな。

この大雨にさえ、身の程を知れと言われている気がして、早く生徒玄関に逃げ込めばいいのに、動けないまま体はどんどん冷えていく。
松田 結々花
松田 結々花
でも、思ってたより……
涙は出ないもんだな
中条 唯月
中条 唯月
……濡れんぞ
松田 結々花
松田 結々花
───!?
突然、私を濡らしていた雨がやんで、よく知った優しい声がきこえた。
中条 唯月
中条 唯月
風邪引く
松田 結々花
松田 結々花
い、つき……くん
何を聞くわけでもなく、ただただ優しい唯月くんの声が私の中にスーッと入ってきて……。
中条 唯月
中条 唯月
帰るか、送る
せっかく、我慢してたのに……。
このタイミングで優しくされたら、
松田 結々花
松田 結々花
うぅ……っ、い、唯月く、
中条 唯月
中条 唯月
……っ!!
自分が雨のせいでびしょ濡れだとか。
これじゃあ、唯月くんまで濡れちゃうだとか。

周りの生徒の視線とか。
唯月くんがどう思うかとか。

そんなことは、一切考えられなくなって……ただひたすら、唯月くんに抱きついて泣いた。

そんな私の背中を、優しくさすってくれる唯月くんの手だけが、やけに温かかった。