───なら、俺を意識して生活してみれば?
───本当は、ずっと好きだった。
唯月くんの言葉と、相生くんの言葉。
ココ最近の私は色々考えすぎてパンク寸前だ。
あの時は、気持ち的にいっぱいいっぱいだったけど、今思えば相生くんのアレって……私にとっては生まれて初めての告白だったな。
突然、杏にドーン!と体当たりされてふらつく。
最近は、自分で服を選んだり、コスメを選んだり。
可愛いものに目がない私。
今日のお目当ては愛読雑誌の人気モデルがプロデュースした、洋服と新作コスメ!
……自分でも、まさかここまで私の女子力が上がるとは思ってなかった。
"完璧すぎる"と、隣で項垂れる杏。
完璧なのになんで項垂れちゃうの?と、首を傾げる私をジトッと見つめて、杏は小さくため息をついた。
杏はオシャレが大好きで、髪色だってメイクだって、季節に合わせてコロコロ変わる。
それが、私には魔法みたいで楽しかった。
プクーっと頬を膨らませて、拗ねてる杏の横顔が可愛い。
……なんだ、そっか。
変えてもらうばかりじゃなくて、私にだって誰かを変える力があるんだ。
そう言って、指で丸を作って覗き込む杏につい笑ってしまう。光くんには、ツンデレな杏がデレデレになるまで頑張って欲しいな。
……いつだってそばにいて、何かあったら守ってくれる、頼りになるスーパーヒーロー。
本当だ、唯月くんは……スーパーヒーローだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。