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第3話

ほんのり色づきリップ
……言った。
言っちゃった。

つい勢いでコンテストに出るなんて言ってしまった。

そんな私を驚いたように見つめる杏と光くんを見て、自分の言った言葉にジワジワ後悔の波が押し寄せる。
松田 結々花
松田 結々花
……あの、えっと、その、
だけど唯月くんだけは、まるで私の答えが初めから分かっていたみたいに、フッと柔らかく笑うだけだった。
中条 唯月
中条 唯月
先に言っとくけど、
今さら"やっぱやめた"はナシだから
松田 結々花
松田 結々花
い、唯月くん……っ
中条 光
中条 光
プリンセスコンテストは、
美容系の大学や専門学校からも
かなり注目されててね
中条 光
中条 光
お眼鏡にかなうには
絶好のチャンスってわけ
優勝すれば進路にも有利になるし
中条 唯月
中条 唯月
やるからには絶対優勝する
"いいな?"と有無を言わさぬ唯月くんに、ゴクリと生唾を飲んで、今さら不安が押し寄せる。

プリンセスコンテストの参加者はアイドル顔負けに可愛い子ばかりだって、杏も言ってたし。
松田 結々花
松田 結々花
……ど、どうして唯月くんは、
私を誘ってくれたの?
中条 唯月
中条 唯月
は?
松田 結々花
松田 結々花
だ、だって……優勝したいなら
可愛い子は他にたくさんいるのに、
中条 唯月
中条 唯月
……完成系に近いもので
勝負するなんてつまんねぇ
中条 唯月
中条 唯月
お前くらいプリンセスに
遠い方がやり甲斐あるからな
松田 結々花
松田 結々花
……そ、そういうもの?
桜庭 杏
桜庭 杏
ちょっと、結々花ちゃん!
少しくらい怒りなよ〜
松田 結々花
松田 結々花
えっ、でも……確かに
プリンセスには程遠いし
桜庭 杏
桜庭 杏
もう!ネガティブなんだから
私の代わりにと言わんばかりにプクッと膨れて見せる杏。そっか……普通なら今の怒るところなんだ。
中条 光
中条 光
……なんて言ってるけど、
本当はただの一目惚れなんだよ
桜庭 杏
桜庭 杏
え?一目惚れ……って、
唯月くんが、結々花ちゃんに!?
松田 結々花
松田 結々花
……え、
中条 唯月
中条 唯月
おい、光!
中条 光
中条 光
珍しく唯月が話してたことがあってさ。
中庭の花壇で花に水やりしてた子が
すごく綺麗だったって……
中条 光
中条 光
それがゆゆちゃんなんでしょ?唯月
松田 結々花
松田 結々花
……中庭の花壇で、
中条 唯月
中条 唯月
"一目惚れ"とも"綺麗"とも
俺は言ってねぇ!
中条 光
中条 光
似たようなこと言ってたじゃん
中条 唯月
中条 唯月
……ったく
楽しそうな光くんの隣で、唯月くんは眉間に皺を寄せている。

もし光くんの言ってることが本当なら、素直に嬉しいと思っている私がいて。

だけど、反対に……
桜庭 杏
桜庭 杏
そういえば結々花ちゃん、
いつもお花にお水あげてるね!
松田 結々花
松田 結々花
び、美化委員だから……でも
他にも……水やりしてる子はいるし、
もしかしたら、"その子"は私じゃないんじゃないかな?なんて思ってしまう。

……水やりしてる時の私なんて、地味で冴えないに決まってるもん。
中条 唯月
中条 唯月
……ったく。
どこまで自信ねぇんだよ、お前は
松田 結々花
松田 結々花
……っ、
クシャッと私の髪を撫でた唯月くんの手は優しくて、まるで"本当だ"と言われている気がした。
中条 唯月
中条 唯月
どうせメイクの仕方も
知らねぇんだろうから
言いながら、ブレザーのポケットに手を入れて、何かを取り出す。
中条 唯月
中条 唯月
まずは、試しにコレ……。
お前に似合いそうな色を選んだ。
付けてみろ
松田 結々花
松田 結々花
口紅?
桜庭 杏
桜庭 杏
あ!Milkywayミルキーウェイの新色リップだ!
いいなぁ〜
中条 光
中条 光
はい、ゆゆちゃん、鏡
松田 結々花
松田 結々花
あ、ありがとう……
フタを開ければ、ほんのり良い香りが広がって、くすんだピンク色が可愛い。

光くんが差し出してくれた鏡を覗き込んで、ドキドキしながら唇にひと塗りすれば……
松田 結々花
松田 結々花
わ、魔法みたい……
桜庭 杏
桜庭 杏
結々花ちゃん可愛い〜!
その色、すごく似合う
中条 光
中条 光
さすが。
唯月の見立てに間違いはないね
ほんのり色づく唇。
たったこれだけのことで、ちょっとだけ自分が可愛くなれたような気がするから不思議。
中条 唯月
中条 唯月
……ただのリップだ。
それに、リップだけじゃまだまだ
プリンセスには程遠いかんな
松田 結々花
松田 結々花
はい……
私の挑戦はまだまだ始まったばかりです。