第1話
王子からのスカウト!?
街中でも、学校でも、可愛い女の子たちを見かける度に、私とは住む世界の違う人たちだと思ってた。
可愛いワンピースも、キラキラのネイルも、華やかなメイクも、オシャレなヘアアレンジも、アクセも。
───「私には、無縁」だと思ってた。
そう、この2人に出逢うまでは───。
***
そもそも、私がこんなにも"普通の女の子"からかけ離れてしまったのは、まだ小学生だった頃。
クラスの男の子に『ブス』と言われたことがきっかけで自分に自信が持てなくなった。
前後の会話はショックのあまり記憶から飛んでしまっていて、なんの経緯で『ブス』と言われたのか……今となっては何も思い出せないけど。
16年生きてきて、1番ショックだった瞬間は間違いなく……あの時だったと思う。
私を見定めるように「フムフム」と頷いて、私の目が隠れるほどに伸びた前髪を、慣れた手つきでサラッと掻き分けた"謎のイケメンその1"は驚いたような顔をした。
無表情のまま腕を組んで、壁にもたれていた"謎のイケメンその2"が、少しだけ口角を上げた。
……さっきから、何の話かさっぱり分からない。
磨けば光るとか、原石とか、プリンセスとか……。
しかも勝手に"ゆゆちゃん"なんて呼ばれている。
そ、そもそも……
私を見たら答えは一目瞭然だ。
ブスだし……地味だし……、オシャレとはとことん無縁だし。おまけに、たまに自分でもため息が出ちゃうほどネガティブで暗い。
高校生にもなって、寝起きの寝癖付きボサボサヘアで登校するくらい女子力に欠けている自覚もある。
───ドキッと心臓が跳ねたのは、きっと、本当のことを言い当てられたから。
一瞬、頭を過ぎったのは、憧れの 志賀 悠燈先輩。
……いやいや、でも先輩はただの目の保養であって、別に好きとかそんなんじゃ……
目の前には、"同じ顔"をした正反対な2人。
……ニコッと微笑む爽やか王子と、フッと笑うクール王子。
び、美容系志望の……イケメン双子!?