〈あなた〉
あなたは涼太クンに屋上に来てもらう
と、約束した。
放課後に、なるまでは
いつも通り接してくれた。
あんな辛いことがあったのに
なんで笑顔でいられるのか…
涼太クンの笑顔は
どうしても作っているようには見えず
心から笑っているように思えた。
声に出しちゃった。
なんて、笑っているけど
なんかこっちも辛くなってくる。
考えもせず告白してしまった…
そして、放課後。
玲於クンは知っているのか
帰って行った。
教室には誰もいなくなった。
確かに。
誰もいないならいいか…
ぼそっと呟いた。
この言葉を言うのが1番辛かった。
【プルプルプル…】
涼太クンの携帯に電話が。
誰からだろ…
慌てた顔で電話を切る。
涼太クンは飛び出して行った。
あなたは飛び出していく背中を見て
心からすごいと思えた。
だって、大好きな人を
いつ目を覚ますか分からないのに
ずっと愛し続けているから…
涼太クンにしかできないこと。
それは人を思う気持ちだと思う────。
あなたの目からは1粒の涙。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。