やっと、入学式が終わり
各組に分かれる。
あなたにはまだ友達がいない。
黒板に張り出されている紙を見て
指定された席に座る。
窓際の前から4列目。
目の悪いあなたにはまあまあ見える。
あまり聞かない名前は印象深い。
そう思っていたら
さっきぶつかった人と
話した人。
すると、周りが
キャーキャー騒いでいる。
でも、
なんであんな素っ気ない人と
馴れ馴れしい人となれて
嬉しいわけ?
今のあなたにはその理由が全く
分からなかった。
理由がわからなく
じっと背の高い方を見ていると
目が合ってしまった。
慌てて前を向き直した。
あの二人は黒板に張り出されている
紙を見に行っていて
背の高い方がこちらに向かってくる。
どんどん迫ってくる。
最終的には
顔も近づけてくる。
どんなけフレンドリーなんだよ。
今なんて…?
それに、あの超ドライな人も。
背の高い方が涼太なら
ドライ君が玲於か…
あーも。
うまくいかない気がする─────。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。