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第1話

ナエギマコト
88
2022/12/01 11:06
ボクは苗木誠。
いたってどこにでもいる平凡な高校生だ。
そんなボクは、あるきっかけで、ありとあらゆる才能をもった高校生たちが集められる学園に入学することになった。
その学園の名前は「希望ヶ峰学園」
全国から優れた才能をもつ高校生を集めている学園だ。
その高校を卒業すれば人生成功したも同然……
学園の名と一緒にそう言われるくらいにすごい学園だ。有名な選手、アイドルなどは、この学園からの卒業生が多いんだとか。
この学園に入学する方法は二つ。
「ある一定の分野で優れた才能を持っていること」
「現役の高校生であること」
これが入学するための条件だ。
ボクは現役の高校生ではある。しかし特にこれと言って特別な才能はなく、ただの凡人でしかないような高校生だ。
そんなボクがこの学園に入学したきっかけは、この希望ヶ峰学園で年に一度、くじ引きで抽選した全国の一般的な高校生を「超高校級の幸運」として希望ヶ峰学園にスカウトするという特殊なケースでの入学であった。
つまりただの運ってことだ。それに、ボク自身希望ヶ峰学園に入学できるチャンスをもらった事自体は嬉しかったが、正直後ろめたさもあった。
自分みたいな一般人が入学していいのか。
入学したとしても一流の高校生達がいる中でボクがやっていけるのか。
そんな不安があったが、「その高校を卒業すれば人生成功したも同然……」という話を聞いた以上、入学を拒否する気にはなれなかった…
そんな気持ちになりながらも、ボクは目の前にある希望ヶ峰学園の門をくぐる。
よし、行くぞ!
志十分に、ボクは希望ヶ峰学園の校舎へと入った。
そんな思い出
ソンナオモイデ











もしもこれがフィクションなら
あなたはどうしますか?
もしもこれがフィクションなら。
ボクはさぞかし嬉しいだろう。
しかしそれはあの希望ヶ峰学園での「コロシアイ」だけだった場合。
あのコロシアイがなければみんな死ななかった。
舞園さんだってコロシアイのせいでこの学園から出られないなんてことなければ桑田クンを殺そうとしなかったし桑田クンも死にたくないからと舞園さんを殺したりしなかったし強くなろうと努力してた不二咲さんだって殺されなかったし大和田クンだって本当は不二咲さんを殺したりしなかったし石丸クンだって山田クンだってセレスさんだって大神さんだって戦刃さんだってそれに、全ての元凶の江ノ島盾子だって。
才能なんてなければよかったのかもしれない。





きっと江ノ島さんも才能なんてなかったら、普通の高校生として幸せに生きれたんだろう。
彼女はすべて予定調和な世界など退屈と言っていた。だからこそ予想の付かない「絶望」を望んでいた。
絶望を希望していた。


希望するから絶望する。
絶望するから希望する。

どちらも表と裏。表裏一体なのだ。だから、ボクが希望になり続ける限り、絶望は消えない。
それでも諦めなかった。
どんなに絶望しても、今までみんなに託されたものを捨てる気はない。

でもそんなボクの思いすら作り物なら?
そんなみんなの死やみんなが託してくれた思いがニセモノなら?
ボクを信じてくれた霧切さん達との思い出も嘘だったら?



全部。
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部
嘘っぱちなら?
霧切さんがボクを信頼してくれたことは十神クンが自分の家系が滅びたとしてもまた再生すると決めたことは朝日奈さんが大神さんから背負った思いは腐川さんが十神クンに抱いている恋心は葉隠クンが変わらず明るくいられるのは
全部、全部嘘?
今まで信じたすべてが嘘ならボクは何を信じればいい?
どこを向いて歩けばいい?
ボクは絶望した。
いや、実際は絶望すら、希望すら存在しなかったのかもしれない
気づいた今では全部無。
何も無い。

ない以前にもとからそんなものは「存在しなかった」
だから無ですらない

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