第24話

突然の衝動に駆られる。
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2020/12/29 05:52
風が吹くのが肌寒かった。今日は1月1日、初詣だ。
遊馬
……話したいことがある。
……え?
橘が俺の口が開くのを待っていた。俺は久々に外でカツラを外し、風にゆらされる髪の毛を鬱陶しく思った。
遊馬
…………あの…さ
上手く言葉が出てこない。どう伝えればいいのかよくわからなくて、昔作文を作った経験を必死に思い出す。そんな思い出した光景が駄目だったのかもしれない。
遊馬
…………お前って、男みたいだろ?
…………ん?!
いきなり口から最低な言葉が出た。
遊馬
あー…そうじゃなくて。
その、口調が男…だっただろ
………………う、うん…
(話したいことってまさか……)
うん。手遅れかもしれない。何とか持ち直そうと頭をひねるが出てこない。橘はどこか挙動不審になっていた。
(男ってバレた…?!)
遊馬
…………それで。だな、
遊馬
下着も男物だったわけだ。
(絶対バレたやつだ!!)
やばい、ドン引かれてそう…。

おみくじの言葉を思い出す。
当たって砕けるのが吉でしょう。
当たるのが吉では無い。砕けるまでがシナリオなのが、どうも俺らしい。
…………絶対に、断られるとわかってる。だから、自暴自棄にもなっているのかもしれない。
遊馬
…………だから…だけどさ。
遊馬
そんなことはどうでもよくて。
どうでもいい…?
完全に理解してないまま橘がこちらを見た。理解しようとしてくれてるのはわかる。うん、意味わかんないよね、自分でも引くよ。
遊馬
だから……その……。
遊馬
それでも、橘は女だから……
(バレてない……のか?)
遊馬
だから……!
もう……いいんだ。砕けても……。
遊馬
俺はお前が男でも女でも……
付き合って欲しいって話なの!!
言っ……た………………。

よく上手くまとめたな俺。最初の方やばかったぞ。
………………え
信じられないと言った表情で橘が俺を見た。そりゃ……そうだよな。
俺は……
(どうする…。嬉し……いけど、
嬉しいのに…。)
(でも……お父さんが………)
しばらくの沈黙の中、電話の着信音が目立った。
あ。ごめん……でるね。
しばらく橘があぁ、はいなど相槌を打つばかりだったが、急に橘の目が見開いた。
……俺…いかなきゃ……。
遊馬
え?
お父さんが……入院した。
馬渕にはそう伝えて……あ、来なくていいって伝えて!ごめん、もう行く…!
そういい橘はすぐに走っていった。
遊馬
…………あ。
1人きりになり、急に冷静になったのか。俺は一気に床に座り込んだ…。
遊馬
(俺……何した…?)
何故言いたくなった。引かれるかも。友達にもなれなくなる。同性愛。嫌われる。壊れる。変わる。離れる。距離を置かれる。
色んな言葉がぐるぐると回った。橘が俺の事を好きというのは想像はできなかったが、その時恐怖症が発症しない確証もなかった。

なのに…………なんで言った?
風が吹くのが……肌寒かった。

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