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2021/01/12

第29話

乙女の責務と最悪のクズ。
鈍い音が聞こえた。壁が強く殴られる。そんなに殴ったら殴った手がヒリヒリするだろうに…
馬渕
クソがッ
憎悪に満ちた音が聞こえる。憎しみが、何もかもがダメになった時の叫び。
夏目
…………あんたはさ、何がしたいの?
馬渕
は?
つい疑問を垂らすと容赦なく睨みつけられた。
夏目
…もう、やめたらっていってんの。
この、頑固馬鹿をなんとかするのが、罪を共有した私の責務だ。














夏目
…もう、やめたらっていってんの。
俺が怒っている理由は1つだった。花織が髪を切って登校して来た。

俺のやってきたことが……何もかも音を立てて崩れて言った。


この女の言っていることが分からない。やめる?俺が?なんで?それで俺が幸せになるとでも思っているのか。花織を諦めることで?
馬渕
…………なんで俺がそんなことするんだ。
素直に聞いた。
夏目
あんたさ。今までずっと橘さんに尽くしてんじゃん。人生全て。
夏目
だから諦めるのが怖いんじゃないの?アイデンティティを失うのが。
明るい声で挑発するように言ってくる夏目にイラついた。
馬渕
俺は今でも花織を好きだから
やっているだけだ。
夏目
へ〜…
意味ありげな「へ〜」に、そうじゃないだろと言われてる気がした。
夏目
…………あんたはそれでいいの?
馬渕
…俺は
夏目
寝れてんの?
馬渕
……。
唐突な寝れてるかの質問に普通なら驚くだろうが、俺には夏目のいいたいことがわかった。
夏目
私は……あんたにあんなこと言われてから、ほとんど寝れてない。
罪悪感の話だろう。盗撮、盗聴。普通の高校生が罪悪感なしで生きていける範囲ではなかった。
馬渕
…………それが、どうした。
夏目
やっぱ…眠れてないんじゃん。
話を誤魔化すとすぐ指摘された。………うるさい。
もう何もかもが面倒くさく感じる。
夏目
…………はぁ
妙に高い溜め息が聞こえ、沈黙が続いた。
…………俺は、花織にずっと執着してきた。確かに、俺が花織を失ったらどうなるのかは、俺でもわからない。

ただ…俺はその為に花織を失いたくないのか?確かに幼稚園の頃からの目標、考えてきたこと全てを失うのは怖いかもしれない。ただ……もう花織がどうでもいいと思ってるとも思えない。
夏目
だからさ…別に。橘さんは絶対手に入んないんでしょ。
馬渕
……!
夏目
何があっても、居ないし。それは理想でしょ。だから……絶対もっと新しいことした方が、あんたの為だと思うけど。
夏目
言うなれば……アイドルに恋してるみたいな。
馬渕
…………。
よくも簡単に言うなと思う。俺にとって、お前が思っているより花織は膨大だ。空いた穴をすぐ埋めることも出来ない。
夏目
…………あんたさ、別に手遅れじゃないよ。
馬渕
……っ
夏目
これから、やり直せばいいじゃん。あんたが出来なかったこと。まだまだ、人生半分もいってないもんっ
そういい満面の笑みを見せる夏目。なんでこのタイミングで笑えるのかが分からない。俺は怒っていて、お前は別に楽しい場面じゃないのに…………。
馬渕
…………なら、責任取れよ。
夏目
……え?
ムカつく。








手を髪に伸ばし唇を押し付けた。別にこいつのことが好きなわけじゃない。こいつも俺を好きじゃない。
夏目
はっ…?!/////
夏目
何…やって……馬鹿!
意味わかんない…!クズ!変態!
急なことに驚き文句と悪口を並べる夏目。
馬渕
うるせー…
耳を手で塞ぎながらそう言う。前言ったはずだ。



《俺がこのお話の、1番の悪役だ。》