第16話

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2019/07/23 14:47
「まずは何から話しましょうか.....」

「そうだな、あなたちゃんが話しやすいところか
らでいいよ。」

「分かりました」


【私は、1年前くらい前に妊娠してることがわかった

んです。お腹の子の父親は、及川さんで、レイプされ

た時にできた子供だと思います。私は事故で両親をな

くしていて、これ以上生きられるはずの命がきえてし

まうのが怖くて、この子を産むことに決めました。だ

から高校も辞めて、烏野から遠いこの地にやってきま

した。及川さんは正直嫌いだし、庇う義理もないので

すが、日本に必要な人材を潰す訳には行かなかった

ので、誰も私を知らない土地で生活しようとここで暮

らしています。】



「これが事の真相です。」

「辛かったな。よく頑張ったな橋本。」

話の途中から涙を流していたあなたを澤村が抱きしめる。

「やっぱり及川の子供だったんだね。」

「やっぱり?」

「大地に、あなたちゃんが赤ちゃん抱っこしてたって聞いてもしかしたらと思ってさ。」

「さすがですね。菅原さんは。」

「だいぶ落ち着いたみたいだな橋本。」

「お陰様で。」

「なあ、橋本。烏野に戻ってくる気はないか?」

「また、あの人に出くわすんじゃないっかって怖いんです。会いたくないんです。」

「そりゃそうだよな......」

「でも、及川は県外に進学したし、烏野の奴らも待ってるはずだと思う。特に月島とかは。」

「.....確かに蛍にも何も言わずに出てきてしまったから....」

「めっちゃ心配してた。今でもしてると思う。」

「ですよね...。では、蒼葉が3歳になったら宮城に戻ります。」

「それまではここで?」

「はい。」

「あと2年とちょっと宮城で待ってるな。」

「ねえ、あなたちゃん、蒼葉ちゃん見てってもいい?」

「ぜひ!」

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ピンポーン

「橋本です。」

「ああ、蒼葉ちゃんちょうど起きたとこだったからよかった。少しずつ、離乳食も食べられそうだから、1番柔らかいタイプの食べさせてもいいかも。」

「分かりました。ありがとうございました」

「じゃあまたね。」

「はい」

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「戻りました。娘の蒼葉です。」

「めちゃめちゃあなたちゃんに似てる!」

「確かに橋本そっくりだ」

「ほんとにあの人に似なくて良かったです...(笑)」

「確かにな(笑)」

「蒼葉ちゃん、こうちゃんですよ〜」

「なにちゃっかりあいさつしてんだスガ!」

「いいじゃん!大地もすれば!」

「俺はその、、恥ずかしいから」

「ちっちゃい子に照れんな!」

「ふふふ(笑)久しぶりに知りえいに会えてすごい楽しいです。」

「やっと笑ったな〜」

「と!そろそろ帰らないと電車間に合わない」

「えーーーー」

「「えー」じゃない!!」

「わかったよ」

「じゃあ、ありがとうな!橋本。」

「いえいえ私は何もしてないですから」

「お邪魔しましたー!」

「では、また。」

「じゃーね」

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「会えてよかったべ」

「ほんとにな.......あ!忘れもんしてきた。すぐ取ってくるから先言っといて」

「わかった。電車に遅れんなよ!」

「分かってる!」

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ピンポーン

「はい?」

「すまん橋本。中にスマホ忘れてないか?」

「スマホ?あー!ありました!どうぞ」

「ありがとう。ついでにさ、連絡先聞いてもいい?いなくなってから連絡先変えただろ?」

「ああ!はい。電話番号でいいですか?そしたら多分LINEも入ってくるので。」

「うん。いいよ。」

「じゃあ言いますね。090ー✕✕✕✕ー〇〇〇〇」

「おっけ。ありがとう。じゃーな。」

「お気をつけて」

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