第3話

にわ!
1,163
2020/02/04 09:37
立花 美和
立花 美和
でねー、そのとき...
我妻 善逸
我妻 善逸
えー、そうなの?
笹木 陽愛
笹木 陽愛
......
息が出来ない。辛い。
後ろから聞こえてくる、2人の楽しげな声。
...私たちは任務の帰り、怪我の手当てをするためしのぶさんの屋敷へと向かっていた。
立花 美和
立花 美和
陽愛ちゃ~ん、聞いてる~?
笹木 陽愛
笹木 陽愛
...!ごめん、な、なに?
立花 美和
立花 美和
聞いてなかったの?じゃあいいや
そう言うと、それでねー、と後で会話を続ける美和ちゃん。
思わず目を伏せると、隣から炭治郎が私の顔を覗き込んだ。
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
....陽愛...
心配したように、眉尻を下げた炭治郎。
いけない、こんな感情めんどくさいだけだ。
隠さなきゃ。
私が我慢すれば収まることだし誰も、私のことなんて気にしなくていい。
笹木 陽愛
笹木 陽愛
どうしたの、炭治郎
私の顔に何かついてる?
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
....いや、なんでも..ない
そう言うと、反対方向を向いてしまった炭治郎。
ごめんね、嘘ついて。
でも、口に出して言ってはいけない事なんだ。
こんな気持ちは誰にも知られなくていい事なの。
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
チッ、クソ女
伊之助がそう小さく呟いた。
笹木 陽愛
笹木 陽愛
ちょ、私のことかい?それは?
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
そう聞こえたならそうなるんじゃねーの!!
笹木 陽愛
笹木 陽愛
んだと
失礼だな。
でも当てはまってるな。
最近、嫉妬まみれな自分が嫌になる。
気づいたら嫌なことを考えてしまっている自分がいる。
善逸を自分のものだけにできたら、なんて。
...善逸は物じゃないのに。
最低だ、私は
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
......
また、炭治郎が私を見つめる。
笹木 陽愛
笹木 陽愛
...やだな、そんなに見つめないでよ照れる。
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
......
ほら、また悲しそうな顔をする。
私のせいでそんな顔をさせているのなら
私なんか___
竈門 炭治郎
竈門 炭治郎
っほら!ついたよ!陽愛の傷が一番酷いんだから!
そう言って炭治郎は私の手をつかんで走り出す。
立花 美和
立花 美和
あっ、待って~!ほら善逸さん、私たちも!
我妻 善逸
我妻 善逸
...うん!
後ろを振り返れば、手を繋いで走る2人の姿。
...その姿を見て胸が痛んだけど、私だって炭治郎と手を繋いで走っている。
人のこと言えない。
でも善逸は、私のことをまだ好きでいてくれているのだろうか。
私はまだ、あの時からずっと変わらずに
好きなのに。

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