第18話

じゅうよんわ!
996
2020/02/04 09:32
我妻 善逸
我妻 善逸
何があったんですか!!
目の前の人物に対して声を荒らげる。
病室だとか今はそんなことどうでもいい。
ただ、どうしてこの人がついていながら陽愛は大怪我をして帰ってきたのか。
先程しのぶさんが到着し、陽愛の手当てを始めた。
陽愛の容態が気になるが、今は事情を知っておきたい。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
......、
相変わらず真顔で何も答えない冨岡さんに対して怒りがふつふつと込み上げてきて、思わず冨岡さんの両肩を掴んでしまった。
我妻 善逸
我妻 善逸
なんで、貴方がついていながら...っ!
冨岡 義勇
冨岡 義勇
...俺の、力不足だ。
彼は、表情を変えないままそう呟いた。
そう聞いた途端、手の力が抜け冨岡さんの肩からずるりと落ちた。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
...鬼を狩っていた時、隙をつかれた。
周りを見ていなかった俺の力不足だ。
我妻 善逸
我妻 善逸
...力不足って、......
それから彼は何も言わなかった。
俺も何も言えなかった。
我妻 善逸
我妻 善逸
んだよそれ...ッ
陽愛のベッドの近くにへたりこんでいた善逸が顔を上げた。
その目にはたくさんの涙を浮かべ、その手は震えているように見える。
我妻 善逸
我妻 善逸
...あんたが居たのに、どうしてこうなるんだよ!!どうして守れなかったんだ!!
善逸があそこまで取り乱すのは初めてで、伊之助も美和も驚いているようだった。
もちろん、俺も。
そして善逸は冨岡さんの肩を掴んで揺らす。
我妻 善逸
我妻 善逸
なんで...守れなかったんだ......
そう呟いた善逸の手を冨岡さんが掴み肩から離した。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
お前だったら、守れていたのか?
我妻 善逸
我妻 善逸
......え、
青い目が善逸の目を真っ直ぐに見つめる。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
...あいつの中身すら守れていない、お前がか?
我妻 善逸
我妻 善逸
何、言って...
”アイツ“とは、陽愛の事だろう
陽愛の中身っていうのは、心の事だろうか。
悲しい匂いがする原因だろうか。
笹木 陽愛
笹木 陽愛
...冨岡さ、んのせいじゃないよ...
私が勝手に...ごめん、
なんで陽愛が謝るんだ。
陽愛からする悲しい匂いが、だんだん変わっていく。
それはもう、絶望、に近い匂いだ。
そんな陽愛の様子を見た冨岡さんは初めて俺たちの前で顔を歪めた。
冨岡さんも善逸も、お互い無言のまま
しばらく沈黙が続いて、冨岡さんは陽愛に目を向けた後、部屋を出ていった。

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