部屋に戻る途中、後ろから声をかけられた。
気配は三つある。
嫌な予感しかしない。
とりあえず見繕った笑顔で振り返った。
...この声は、さっき美和と話してた奴らか。
また面倒くさいことになったな...
そう思ってたのが顔に出てしまったのか、男3人は眉を顰めた。
睨まれるけど、私は表情を変えない。
...おっと
思わず口に出してしまった。
2回言わなくていいよ。
お前らのことなんてどうでもいいわ。
手首を強い力で捕まれ、引っ張られる。
なんだこいつら、力強くね?
私が大声を出そうとした時だった。
私の前に立って、
私の手首を掴んでいる男の手を掴むのは
懐かしい香り、
懐かしい聞きなれた声、
懐かしい見慣れた背中、髪色
私の大好きなひと、
なんで、ここに?
善逸は男の手を掴んだまま離さない。
男が善逸の胸ぐらを掴もうとしたとき、
善逸はそう言って、私の手首を掴むの男の手を振り払った。
(えぇぇ~...!)
あんな怖がりな善逸がまさか
先輩にこんな事をいうなんて。
善逸に手を引かれて走った。
さっきの男とは違って
私の手を引く彼の手は、とても優しかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。