第10話

愛すことは騙されること。
491
2019/01/02 12:35
コンコン
増田
あなた、朝だよ。
あなた
……………。
あの日から2日が経ち二人も帰ってきたが、私は間違えてしまったらしい。
増田
起きてる?
優しい貴久くんの声も、今は信じられない。
何故なら、祐也くんがイライラして乱暴になっているから。それに貴久くんは関係無くても、次の仕事でこうなってしまうかもしれないという恐怖。
増田
……あなた、せめてご飯だけでも食べてよ…。死んじゃうよ……?
あなた
……………。
夜ご飯も食べてない。
「朝だよ」って言っても現在時刻11時36分。
そろそろお昼だが、なにも食べる気になれない。
増田
…あなたお願い、食べて…。
あなた
…………。
増田
入るよ…?
ガチャリ
増田
…あなた、こっち。
あなた
………何。
私の声は掠れ、性格も冷たくなっていた。
増田
ぎゅーってしてあげる。
あなた
……………やめてよ…。
増田
いいから。
あなた
やだ。
ここで心を許しちゃいけない。ダメ。
許したら、裏切られる。
あなた
…私は……愛せない…………。
怖いよ…もう誰を信じたらいいの…?
増田
手越はさ、今はあんなでもまた優しくしてくれるから。大丈夫だよ。
あなた
貴久くんは…?
増田
俺?俺は分かんない。
でも初めは優しくなかったけど、あなた俺にしつこかったよ?
増田
逆に嬉しかったけどね。
にこりと笑った顔が可愛かった。
あなた
……貴久くん…。
増田
俺はあなたのこと愛してる…。愛されなかったから、あなたを愛してるよ…。
あなた
…愛されなかった?
増田
俺ね、あなたと同じで虐待受けてたの。
あなた
!?
増田
だから俺と同じ雰囲気感じたっていったでしょ?そういうこと。
あなた
…あ。
増田
ふふっ、あなた。
増田
手越んとこ行こ?
それで、また仲良く遊ぼう?
あなた
………うん…!
増田
…あなた、愛してるよ。
あなた
私も、愛してる…!
もう少しだけ、信じてみることにした。

プリ小説オーディオドラマ