Soya_
蒼「何があったの?」
作ちゃんを部屋に連れて行き、少し休ませてからそう問う。
龍「わかってた…」
蒼「え?」
龍「ちゃんとわかってた…あなたちゃんが言いたかったこと…。わかってたのに、ひどいこと言った…」
蒼「うん」
龍「あなたちゃんって、素直じゃないじゃん…」
蒼「うん」
龍「だからいつも自分なりに解釈してた…こう言いたかったのかなって…。今回も、そうだよ…。あなたちゃんがね、『吐くくらいなら話さなきゃいいじゃん』って言ったの…。たぶん、橋もっちゃんとみずっくん見て、辛い思いさせたから申し訳なく思ったんだと思う…。無理しなくていいよって、言いたかったんだと思う…わかってたのに…ちゃんと考えれば、冷静でいれば、あんなこと言わなくて良かったのに…っ」
蒼「あんなこと?」
龍「…無責任すぎる…最低だ…って…」
蒼「…っ」
作ちゃんの口から予想外な言葉が出てすこし戸惑う。
そりゃあなたも泣きそうな顔で戻ってくるよな…。
でもどっちが悪いって言われても、たぶんどっちもどっち。
素直になれてないあなたも悪いし、考えもしないでそんなことを言った作ちゃんも悪い。
2人とも、多分俺が思ってる以上に反省してると思う。
ならもうさっさとこの喧嘩終わらせた方がいい。
蒼「で、どうするの?」
龍「え、?」
蒼「このまま喧嘩したままじゃ嫌でしょ?じゃあどうするの?」
龍「…謝る」
蒼「だよね。じゃあ行こ」
龍「うん。がりさん」
蒼「ん?」
龍「ありがとう」
蒼「うん。ほら、行くよ」
龍「うん」
そう言ってリビングに行こうと部屋を出ようとした時だった。
俺がドアを開けようとしたと同時に廊下からドアが開かれた。
蒼「あなた」
「龍斗。いい、?」
龍「…うん」
蒼「じゃあ、俺は下に行ってるね」
「ありがとう」
蒼「がんばれ」
ってあなたの頭を撫でてから俺はリビングに行く。
フリをした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!