キルアside
緊張していた。
こんなに緊張したのは、初めてだった。
オレがあなたに聞きたかったことは、「あなたがオレのことをどう思ってるのか」だった。
こっちを向いたときに見えた、あなたの目は、透き通った綺麗な淡紫色だった。
声が震えた。
思わず、消極的な事を言ってしまった。
あなたは、黙って窓の方を見ていた。
考えているのか、はたまたオレの突然の質問に困っているのか。
横顔からは、何を考えているのか分からなかった。
唾を飲み込んだ。
手に汗を握っているのが分かった。
ふと、あなたがオレの方を見て少し笑った。
オレは、驚いていた。
言葉が出なかった。
どうすれば良いのか、分からなかった。
こっちを見たあなたの笑顔は、あまりにも眩しかった。
そして、我に返って、言われた言葉に胸が高鳴った。
一気に顔が熱くなるのを感じた。
オレが、俯いて笑っていると……
予想外の事に、また驚いた。
オレがあなたの事をどう思ってるか……
言える訳……ない。
ごめん、あなた。
今は、言えない。
友達ってことすら……
ましてや恋愛的に好きだなんて……
オレには、そんなことを思っていい相手はいない。
ありがとう、あなた…
あなたがそう思ってくれてるって、分かっただけで、十分幸せだよ。
笑ってあなたの手を握った。
頬を膨らませ、こっちを見てくる、あなた。
それが可愛くて、すげー愛しくて……
でも、そんな感情を無理やり飲み込んで、言った。
本当は、あなたがオレのことを“友達“だって認めてくれた時から、伝えたかったんだけどな。
オレも、あなたが“大好き“だって……
つづく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!