第2話

* 風は颯爽と纏まっていく *
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2019/01/06 14:40
喜多
いいね! 今日は天気もいいし!
仁志
賛成、賛成!!
 喜多くんの屈託ない明るいテンションと可愛過ぎる仁志くんの笑顔を目の当たりにして、ハイエナのように三人の周りに群がっていた女子たちの勢いが途端に緩む。
 やはり、愛でたいもの。愛するのものには弱いだろう。そんな彼らの嬉しそうな表情を目撃して尚、妨害を企てる女子はいないようだ。
 ある意味、現金。ある意味、可愛らしい彼女たちの愛の形に突っ込みを入れるのも無粋な気がして、裏庭に向かおうとする。すると、手元のパンを吾妻くんがスルリと奪い、極上の笑みを浮かべて前を歩いて行く。
吾妻
んじゃ、俺が美波ちゃんのパン持つよ
美波
いや、別に持ってもらうほどのものでもないというか……
吾妻
いいからいいから
 そう言った彼の本当の狙いが分かったからこそ、私は素直にお礼を述べることにした。
美波
……あー、分かった。ありがと

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