第6話

切ない恋。
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2018/07/04 06:36
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購買からの帰り道。
風磨
風磨
健人。
健人
健人
なに。
風磨
風磨
お前さ、まだあの人の事好きなの?
健人
健人
....どうでしょう。
風磨
風磨
俺はお前にはあなたちゃんみたいな
子と付き合ってもらいたいけどな。
健人
健人
そう。
俺は風磨の話を深く聞かなかった。
あの人が俺から笑顔を奪う人だってわかってても俺にはあの人を嫌いになる事なんて出来ない。まるで深い沼にハマったみたいに前や後に進むこともできない。
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その日の放課後。
駅に着くと先に来ていた先輩を見つけた。
あなた

先輩。

健人
健人
大原。最近よく会うな。
『最近』っていう言葉にピクッと耳が反応した。
あなた

私は去年から駅で先輩を見かけてました。ただ、先輩の目に私が映ってなかっただけです。告白の成果があったって事ですね。

健人
健人
確かに。そうかもね。
あなた

だから今、存在を知ってもらえて
る事が夢みたいでとても最高です。

健人
健人
大原ってよく笑うよね。
あなた

はい。今が楽しいので、
自然に笑顔が出るんです。

健人
健人
俺も楽しい恋がしたかったな。
あなた

へ...。何か言いました?

健人
健人
いや。お前の笑顔見てるとホッとする。
あなた

... ありがとうございます?

そんな話をして金曜日が終わった。たった1週間で
こんなに距離が縮まるなんて思ってなかったな。
今がとても幸せ。
月曜日。
私は寝坊をしてしまって朝、先輩に会うことができなかった。帰りも委員会が入って会えなくて。先輩に会えない1日がこんなに辛くなるほど、先輩に会える日が当たり前になってしまった事にビックリした。
火曜日。
朝、電車に乗ると違う車両に先輩を見つけた。
でも、私の視界には悲しい微笑み
をする先輩と仲良さそうに話す女性が映った。
少し動揺してから私の頭には美穂の言葉が浮かんだ。
美穂
美穂
噂なんだけどさ。
先輩、大学生と付き合ってるらしいよ。
この人の事だ。
噂なんて嘘だって思ってたのに。
私は先輩を見る事ができなくて視線を逸らした。

キーンコーンカーンコーン
鐘の音でハッとすると1限が始まる時間になっていた。
慌てて教科書を準備するといつもと違う先生が入ってきた。私はその顔をみて一瞬固まった。
今日の1限は自習になりました。
それぞれ静かに取り組んでください。
ツンツン
あなた

ねぇ、勝利。
あの人って誰かわかる?

勝利
勝利
えーっと。佐々木柑菜先生だっけ。
3年1組の担任だと思うよ。
あなた

3年1組!?

勝利
勝利
ちょ。シー。
あなた

ご...ごめん。

3年1組って事は中島先輩の担任って事。
そう言えば、金曜日。
健人
健人
俺も楽しい恋がしたかったな。
って。
今日の目撃と先輩の発言が頭の中で重なった。
先輩が恋してるのは担任の先生って事。

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