第27話

壁。
1,277
2018/07/25 15:27
夜ご飯を食べたあとは録画してあった映画を見たり、
ワイワイお話をしたりした。すごく楽しい時間だった。
お風呂に入り、出てリビングに
戻ると勝利以外の2人が寝てしまっていた。
あなた

勝利。そろそろ帰る?

勝利
勝利
マリウスが起きてから一緒に帰るよ。
あなた

そっか。

勝利
勝利
あなたの親って相変わらず自由だよな。
あなた

そうだね。でも、幸せならそれでいいよ。

勝利
勝利
大人だな。
あなた

そんな事ないよ。正直に言えば寂しいし。だから、2人が遊びに来てくれてよかった。って思ってる。ありがとうね。勝利。

勝利
勝利
おぉ。いつでも来るから。
また寂しい時に呼びなよ。
あなた

ありがとう。

マリウス
マリウス
その時は僕も呼んでねー。
あなた

マリくん。起きてたの?

マリウス
マリウス
うん。
勝利
勝利
じゃあ、帰るぞ。マリウス。
マリウス
マリウス
えー。
勝利
勝利
ほら。じゃあな。あなた。
あなた

うん。バイバイ。マリくんもね。

マリウス
マリウス
バイバイー。
という感じで2人は帰っていった。
リビングには私と寝ている聡だけ。
また、静かになったな。
楽しい時間はすぐに終わっちゃうもんね。
まぁ、そろそろ聡も起こさないとな。
あなた

聡。起きてー。

聡
....あなた。
あなた

起きた。もう、みんな帰ったよ。
聡もお風呂入っておいで。

聡
うん。そうする。
そう言って聡は重たいまぶたを開けながら、
お風呂に入る準備を始めた。
あなた

そうだ。勝利とか呼んでくれて
ありがとうね。すごく楽しかったよ。

聡
いいよ。僕があなたの笑顔
見たかっただけだから。
あなた

そう言う事、好きな子に言いなよ。

この発言をした事を私は後で後悔した。
このセリフがなかったら、今まで通りだったのに。
----ソウ サイド------
あなたに起こされて目を開けると、
もう、勝利くんとマリウスはいなかった。
何も言わずに帰るとかおかしいでしょ。
あなた

聡もお風呂入っておいで。

聡
うん。そうする。
僕は着替えを持ってお風呂場向かった。
ドアを閉め、上の服を脱いでいると壁越しに
話しかけてくるあなたの声が聞こえてきた。
あなた

勝利とか呼んでくれてありがとうね。
すごく楽しかったよ。

聡
いいよ。僕があなたの笑顔を
見たかっただけだから。
そう言うと、あなたは照れたのか間をあけてから再び話し始めた。そのセリフが僕のスイッチを押してしまった。
あなた

そう言う事、好きな子にいいなよ。

1歩も進まない僕達の関係。
そこには『姉弟』って言う壁がある。
その壁を壊さなきゃ、前になんて進まない。
聡
僕が好きなのはあなただよ。
あなた

冗談言わないでよ。

あなたはそう決めつけてドアの前から離れようとした。
せっかく心を決めて言ったのに、
なかった事になんてしたくない。

ガラッ
あなた

聡..キャッ。

僕はあなたを抱きしめた。いわゆるバックハグ。
聡
冗談だったらこんな事してないよ。
僕は、本気で...あなたが好きだよ。
抱きしめてるあなたの心臓の鼓動はとても早くなった。
あなた

聡は弟だから。今までもこれからも。

あなたは困った顔をしてそう言った。
そして、そのまま自分の部屋に入ってしまった。
困らせる事なんて分かってた。
それでも、『姉弟』壁を壊せるならって思ったのに。
新しい壁が僕達の間に出来てしまった。
これまでよりもとても厚い壁が。

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