-----ソウ サイド-----
あなたに告白した次の日。
朝起きてリビングに行くと机の上にサランラップで包まれたお皿が置いてあった。お皿の側にはメモ用紙もあった。
『友達と勉強してくるね。
朝ごはん温めて食べてね。 あなた 』
あんな事あったのに、ほっとけないんだな。
そういう所も大好きなんだよな。
僕はマリウスを家に呼んだ。
マリウスだけが、僕の気持ちを知ってるから。
『聡は私の弟だから。今までもこれからも』
あの言葉は、あなたの本心だったと思う。
血の繋がりがある本当の姉弟じゃないのに、
いつも姉として僕を支えようとしてくれた。
なのに、僕はそれを無視していた。
今までのあなたの努力を否定した。
ありがとう。マリウス。いつもそばにいてくれて。
マリウスが話を聞いてくれるだけで、僕は嬉しいよ。
あなたは今、何を考えてるのかな。
早く会って謝りたいな。
-----You side-----
しばらく、静かになった後。
先に口を開いたのは、先輩だった。
でも、せっかく先輩が忙しい中で時間をくれたのに。
私は先輩の言葉に甘えて、帰る事にした。
『このギクシャクを今なくさないと、
一生このままかもしれないよ。』
素直にイヤだと思った。だって、聡の事大好きだもん。
ガチャッ
私がそう言うと聡は驚いた顔をした。
謝られるなんて思ってなかったんだろうな。
聡はそう言って笑った。
いつもと変わらない笑顔。
でも、今までとは違う距離。
それでも、昨日できた壁は消えていた。
私達の今の関係は謎だけど。
これから先が楽しみだったりもする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。