あなたの家に着く頃、あなたは寝ていた。
起こす訳にも行かないし、
俺は鞄を漁ってカギを出して部屋のドア開けた。
とりあえず、ベッドまであなたを運んだ。
水分と薬と体温計と冷えピタ...ない。冷蔵庫もカラ。
しかたない、買いに行くか。
俺は、置き手紙をしてあなたの家を出た。
-----You Side-----
目が覚めると、私の部屋の天井が視界に入った。
私.....どうやって帰ってきたんだっけ。
なんて考えていると、紙切れが置いてあった。
『薬局行ってくる。 健人』
そうだ、健人が私の事抱えてくれたんだっけ。
ボヤボヤしてると、家のドアが開いた。健人かな....。
私は、咄嗟に寝たフリをした。
健人は部屋に入ってくると、冷えピタを貼ってくれた。
前、私が言った事だ。
体温計で計ってみると....ピピピピッ
大好きな果物はモモで、風邪の時はモモしか食べない。
って前言ったの。覚えててくれたんだ。
私は、モモを食べた。
私が風邪をひいた時、いつも家に1人だった。
7歳までは母子家庭だったから、甘えれなくて。
風邪ひいた時にそばに誰かが居るのって幸せだな。
食べ終わると、薬を飲んで布団の中に戻った。
健人はお皿を洗ってくれた。本当に、前と逆だな。
私は、そう言って笑った。
話せてよかった。
お互いの気持ちを知れて、よかった。
健人は手を振って帰って行った。
明日。早く熱下げないと!
それから私は、健人を見送ってから鍵を閉めて、
部屋に戻って寝た。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。