彼を沈めた風呂場を見て、私はどう死のうか考えた。
どうしようか?
あ!風呂場ちょうど水もあるし、手首を風呂場につけるやつで失血死するやついいな。
シャワーを自分に当てる。風呂場の水に入れられなかった場合はシャワーで死ねるように。
包丁を手首に当ててみる。少し怖い。
手首に向かって包丁を振り下ろす。
ガッ
骨に引っかかって余りきれなかった。血で傷口があまり見えない。少し水で流して骨をどうしよう考えた。少し縦に切ってみる。十字に切れた。
皮膚を少しめくってみる。
血がドクドク出てる。そしてすぐ後に激痛が走る。
骨が見えた。
少し爪で引っ掻いてみる。
すぐに激痛が走る。
それでもかまわずに少しずつ削ってみる。骨って神経が通ってないからあまりいたくないと思ってた。すごい痛い。
少しだけその部分がへこんだ。そこに向けて包丁を力一杯振り下ろす。
バキッ
骨がきれいに折れた。見るからに気持ち悪い。吐いてしまいそう。
その前に激痛で死にそう...気絶しそう...意識が無くなってくる..ああ...水につけなきゃ...腕を水の中に入れなきゃ死ねない。早く気絶したい。この激痛にはもう堪えられない。
その後私は何も覚えていない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!