勢いよく宿屋の部屋を
飛び出したあなたとシャルロット。
やがて、たくさんの施設が並んでいる飛行島の
空き地になっている場所に辿り着いた。
冒険家になる「特訓」をするなら、
職は聞いた方がいい…と
思っていたシャルロット。
彼女自体も、元々は
ルクサント王国出身の騎士である。
場所の移動が思った以上に長いせいか、
あなたの反応する声が僅かに小さい。
あなたは、ギルドの役員として
活動しているうちに、
独自の剣術を創り出している。
剣術を嗜んでいたのは僅かな期間ではあるが、
あなたにも多少自信はある。
シャルロットもまた、同じ剣士。
練習するにはもってこいの相手だ。
自分が持つ剣を構え、
お互いを見合って対峙する。
熟練度で見れば、シャルロットが断然有利だ。
一瞬のうちに間合いを詰め、攻撃を仕掛ける。
あなたは、シャルロットの
攻撃を見切っていた。
そして、すぐさま体勢を整える。
呆気にとられているシャルロットの剣が
弾き飛ばされる。
彼女自身も、あなたの剣術の実力が
これ程にある事は
全く想像していなかっただろう。
シャルロットが言うには、あなたの
腕前が自分の想像以上だったらしく、
そのせいで集中が出来ていなかったらしい。
この時点で、既にいつも通りの
シャルロットとはかけ離れている。
上機嫌になったシャルロットは、
ルンルン気分であなたの指差す店に向かった。
厨房に辿り着いたあなたは、
手際よく食材を切ったりしては
皿に盛り付けていく。
シャルロットのリクエストであるビーフも、
味付けは欠かさずに皿に並べていた。
テーブルに、あなたの作った料理が並ぶ。
あなたは、ギルド役員になる前も、
その後も料理に親しむ日々が続いていた。
これくらいは容易である。
皿に盛り付けられた料理を
口にしたその瞬間、
シャルロットの手が止まる。
喋りながらではあるが、シャルロットは
ビーフも少しずつ食べ始めている。
そして時は過ぎ、皿にあった料理とビーフは
いつの間にかなくなっていた。
厨房の片付けが終わり、
シャルロットの元に戻るあなた。
あなたは、シャルロットと
ゆっくりとしたスピードで歩きながら、
宿屋に戻っていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。