さっきから時間ばかり気にしてしまう。
君がこんなに遅いなんて。
時計は25時を指していて。
ふわっと頭の中に嫌なことが思い浮かぶ。
浮気…?
もう付き合って長いこと時間が経つ。
スニョンに限ってそんなこと…。
そんなふうに不安に思っているとこへ
着信音がなり、慌ててでる。
君からの電話だ。
知らない女の人の声。
スニョン君って、
2人で飲んでたの?
私はそんなことを思いながらコートを着て
財布と携帯だけ持って家をでた。
教えてもらったお店にいくと、
綺麗な女の人の隣で
気持ちよく寝ているスニョン。
彼を起こしている女の人。
女の人に起こされるスニョン。
私は彼に近づいて、
彼の机の上に鍵を置いた。
私は足早に彼と女の人がいるお店を出た。
酔っている彼氏を置いて。
最悪だ私。
嫉妬したからって、でも。
あんなふうに完璧じゃないスニョンを見れるのは
私だけだと思ってたのに。
スニョンの声が聞こえたのと同時に
腕を掴まれる。
振り返るな、泣いてるのがバレる。
君は昔からモテることを自覚してない。
やめてほしい。
私の彼氏でいてほしい。
他の人と仲良さそうにしないで。
そんな、大人気ない言葉ばかり頭に浮かぶ。
君の前では見せないと思っていた涙に歯止めが効かなくなり
次々出てくる涙は私の止まれの信号を無視する。
君の匂いに包まれる。
私はおとなしく君の腕の中に収まる。
若干君の震える声が聞こえる。
こんなとこがあるから君のことは憎めない。
君の秘密9つ目、昔からモテる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!