アパートの部屋の前で体育座りをしながら震えてる君を見つけ駆け足で駆け寄る。
そう言って伸ばす手を私は引っ張り上げた。
その手は驚くほど冷たくて。
私がそう聴いた瞬間、
犬のしっぽが下がってしまうかのように
君のテンションが落ちるのがわかる。
なるほどだから、連絡するすべも無く
ドアの前で体育座りか。
私はすぐに部屋の鍵を開けて
毛布を持ってくる。
スニョンを毛布でくるんでそのまま自分の腕に彼を包む。
そう言って、笑う君が少し鼻声だ。
私はスニョンの手を引いて寝室のドアを開ける。
かなり体がきついんだろう。
コクリと小さく頷いたあと
倒れ込むようにスニョンはベットに寝転ぶ。
私はそう言って彼にきれいに布団をかけ直す。
自分の体温より少しだけ高い温度が重なり
目が覚める。
顔を真っ赤にさせたあなたに言われたくないな
なんて思いながら、彼の頭を撫でて
グーッと背伸びをして起き上がる。
スニョンが頷くよりも先に体温計を出してくる。
私は体温計に出された数字を2度見する。
そんなじょうだんもいえるくらいだ
体がだるそうなのはわかるが
思っているより楽そうだ。
何より、なんだか
…楽しそう?
どんなに高い熱を出して
本調子じゃなくてもこの人はいつでも
私の調子を乱していく。
君の秘密11コ目、風邪を引きやすい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。