神山side
ガラガラ
先生「智洋くん、検査の準備ができたからこれから始めるね。いつもの場所に来てくれる?」
俺は病室を出て検査の部屋に向かった。
検査の時はだいたい暴れて、苦しくなって、先生に酸素マスクつけてもらって、説得されての繰り返し。
自分だって、苦しくなりたくないのにそれよりも恐怖とか不安とかが勝って、結局暴れて苦しくなってまう。
毎回、今回はそうならないように、って思ってからやんねんけどいざ検査の部屋に行くと暴れる。
嫌やな。
そう思いながら廊下を歩いていると村上先生のいる耳鼻咽喉科の辺りにきた。
しげまた心肺停止?
えっ.............?
なんか濵ちゃんと淳太がもう1回しげが心肺停止になったら助かる確率は15%って言ってなかったっけ?
しげ、、、
先生「大丈夫だよ。」
先生は俺の気持ちに気付いたらしく、戻ることを許可してくれた。
焦る看護師の声、、たまにしか見ない村上先生の真剣な顔。
俺の頭の中でその場面がずっと再生されていた。
早く戻ってみんなに言わへんと。
病室に着いた。
ガラガラ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。