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第28話

ゆりにゃんのひみつ
 高校から松浦くんの家まではそれほどかからなかった。

 ちょうどご両親は不在で、私は松浦くんの部屋に案内された。



 参考書がきれいに並べてある勉強机、少年漫画がぎっしり詰められた本棚、名前はわからないけど知っているサッカー選手のポスター。

 そして、たたまれた布団が乗っているベッド。


 とりあえずその場に座ろうとすると、松浦くんは押し入れから折りたたみ式の机とクッションを用意してくれた。
松浦くん
じゃ、飲み物とお菓子取ってくるわ
山本 萌
あ、ありがとう……
 すごい手慣れてる感が溢れている……まあ、松浦くんはイケメンで気さくだから、カノジョいたとしてもおかしくないよね。















 あれ。もし、松浦くんにカノジョがいたら、この状況アウトじゃない……?



 いやいやいや! 私は単なる友達だし、友達と家に招くのは全然普通のことだよね!
 頭の中で、様々な私がぺちゃくちゃと議論する中、松浦くんが戻ってきた。
松浦くん
お待たせー。ドーナツとカフェオレでいいかな
 そ、それは超人気店のドーナツ!
山本 萌
食べてもいいの?
松浦くん
母さんが買ったやつだけど、賞味期限近いから協力したってことで、な?
 松浦くんはいたずらっぽく笑った。




 その後、私は遠慮なくドーナツを頬張った。生地はうっとりするほどもっちもちで、しかも甘すぎないからいくらでもいけるほど美味しかった。

 お腹と頭の中がドーナツの美味しさで満たされてきたとき、ふと、松浦くんがつぶやいた。
松浦くん
懐かしいなあ
山本 萌
何が?
松浦くん
中学生になって俺が部活入るまで、こうやって小原とドーナツ食べてたなあって
 小原くんという言葉を聞いた瞬間、頭の中のドーナツが小原くんの顔に変わった。
山本 萌
小原くんのこと、教えてくれるんでしょ?
松浦くん
おおっ、やっと思い出した?
 反論しそうになったけど、何とかこらえてうなづいた。

 すると、松浦くんは押し入れから何かを取り出した。私の前に広げて見せてくれたのは、女の子用の洋服だった。


 小学生が着れるサイズで、どれもフリルがあしらわれていたり、パステルカラーだったりと、可愛いテイストのものばかり。
松浦くん
ゆりにゃん、覚えてるよな
山本 萌
そりゃあ、あんなの忘れられないよ
松浦くん
あのメイド喫茶運営してるの、俺の親父なんだ
 私は驚きのあまり声が出なかった。
松浦くん
だから、小原は特別にゆりにゃんとして働けているんだ。あの衣装も、小原のために作られた特注品
 松浦くんは淡々と話を続けた。