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第30話

松浦と小原②
 それから、小原はよく俺の家に来るようになった。

 俺の部屋で、ドーナツを食べながらたわいない話に花を咲かせるのは、公園でのサッカーと同じくらい楽しかった。




 ある日、いつものように小原と家の中に入ると、姉の直子がいた。

 当時JKを謳歌していた直子は、金と時間を全てメイクやおしゃれに費やしていた。親父と母さんとはいつも口げんかばかりしていたが、姉弟仲は良好だった。



 多分、カレシはいたと思う。





 帰宅したばかりでまだ戦闘態勢だった直子は、小原を見て目を大きく見開いた。
松浦 直子
その子、亨の友達?
 俺がうなづくと、小原も恥ずかしそうに頭を下げた。
小原くん
お、おはら けいです。とおるくんには、いつもおせわになっております
松浦 直子
ふーん……
 直子は小原に近づくと、さらに小原の顔を凝視した。
松浦 直子
けいくんでいいかな? 君、超可愛いね!
小原くん
え!?
松浦くん
おい、ねーちゃん! おはらをこまらせんな!
 俺は直子を押して、小原から遠ざけた。
松浦 直子
亨はケチだなあ。こんな素晴らしいキャンバスを独り占めにする気?
小原くん
……キャンバス?
松浦 直子
そうよ。けいくん超可愛いから、メイクとか似合うと思うんだ
 どうやら直子は、小原にメイクをしたいようだ。




 冗談じゃない。確かに、小原は男にしては中性的な顔立ちだけど、一応男なんだぞ!?
松浦くん
おい、なにいって……
小原くん
したいです!!
 あの小原からは想像できないような、大きな返事が玄関に響いた。

 俺はもちろん、直子も目を見開いた。だが、すぐに直子は満面の笑みを浮かべて小原の手を握った。
松浦 直子
ありがとう、けいくん。もっと可愛くしてあげるからね!




























 小原のメイクが終わるまで、俺は直子の部屋で待たされた。


 暇なのでドア越しに耳をすませると、ふたりの楽しそうな会話が聞こえてきた。








 なんで、小原は直子の無茶なお願いを了承したんだろう。


 俺だったら、男だったら、絶対嫌なはずなのに。

















松浦 直子
亨、入ってきてー!
 窓から夕日が差し込んできた頃、ようやく入室の許可がおりた。
松浦くん
おっせーよ……
 口を尖らせてドアを開けたが、すぐに口の形は元に戻った。






 チェックのスカートが、ふわりとなびく。


 雪のような肌、カールしたまつげ、透き通った瞳、ほのかにピンク色に染まった頬、艶々の唇。
小原くん
ど、どうかな?
 もじもじしながらはにかむあいつは、俺には女の子にしか見えなかった。