木下さんはイケメンふたりの登場に少し驚いたが、絶好のチャンス到来にニヤリと笑った。
これが表と裏の違い……。
私も女子だけど、やっぱり女子って怖い。
じゃなくて、小原くんと松浦くんの反応は!?
ひええ、今メグちゃんて呼ばないでー!
でも、そのおかげで木下さんはひるんだ。このチャンスを逃すわけにはいかない!
木下さんの横を通りすぎ、小原くんと松浦くんにかけよった。
私たちは屋上へ向かった。
今日は晴天だけど、ほどよく風が吹いているので心地よい。
私はふたりにお礼を言って、大まかにさっきの出来事を話した。
なんか、ふたりの会話って漫才みたいで面白い。
あのとき、私は言葉が出なくなった。そして、負けたと思ってしまった。
今回助かったのは、小原くんと松浦くんのおかげなのに。
小原くんの言葉に、私は否定の言葉を飲み込んだ。
この前まで私は、木下さんに何も言えなかった。
そう、名前をバカにされたって。
でも、小原くんと出会って、私は萌だって言えた。
今日は、木下さんが戸の前にいるのがわかっても、私は屋上に向かおうとした。
自分の意志を貫こうとしたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。