自動ドアをくぐれば、あら不思議。猫耳メイドの世界へ迷い込んでしまった。
この世界では、松浦くんはご主人さま、私はお嬢さまらしい。それくらいしか理解できなかった。
松浦くんは呆気にとられている私をエスコートしてくれた。少女漫画で起こりそうなシチュエーションなのに、胸は全然ときめかない。
テーブルに着くと、松浦くんがメニューを渡してくれた。恐る恐る見てみると……。
にゃんにゃんオムライス
にゃんばーぐ
ぼんごれびにゃんこ
ぷにぷに☆にくきゅうぜんざい
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・
・
うん、決められない。
えっ、松浦くん決めるのはやっ! あなた、絶対常連客でしょ!
……じゃなくて、どうしよう。松浦くんを待たせるわけにもいかないし、とにかくここから早く出たいし……もうこれでいいや!
なんだか、寿命が縮んだ気がした。
すると、今度は黒の猫耳メイドがやってきた。
通常運転で注文する松浦くん。もはやレジェンドの域で、ある意味尊敬できる。
そんなシステムがあるの!? 完全に注文をミスってしまった……。
ここのにゃんこの名前なんて知らないわ!
いつものように思考回路がエラーを起こしそうになったとき、
なんと、松浦くんが助けてくれた。
いや、ただ松浦くんがその娘に会いたいだけなのかも……。
黒の猫耳メイドさんは注文をメモしおえると、厨房へ向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!