無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第22話

小原くんの答え
 私と松浦くんは階段を上って、屋上へ続くドアの前で止まった。

 ドア越しで耳をすませると、かすかに女子の声が聞こえてきた。

 声の主は木下さんだと思うけど、何を言っているのかは聞き取れない。




 うう、すごく気になるのに……。





 すると、松浦くんが音を立てないようにドアを少しだけ開けた。
木下 貴子
じゃあなんで、山本さんばっかり構うの!?
 いきなり自分の名前が聞こえて、肩がビクッ上がった。それに、木下さんのこんな苛立った声を聞くのは初めてだ。






 木下さんの怒りと向き合っている小原くんは、本当にすごい。今の小原くんは、どんな顔をしているんだろう。


 ドアの隙間をのぞきたい衝動を抑えて、聞こえてくるふたりの会話に集中した。
木下 貴子
あんなやつの、どこがいいのよ! 地味で、根暗で、臆病で……あたしがあいつに劣っているというの!?
 どんどんヒートップしていく木下さん。今まで溜め込んでいた私への悪口を、怒りに任せて全て吐き出している。

 これが、木下さんの本性だ。
松浦くん
あの女……メグちゃんの悪口をペチャクチャと!
 松浦くんが眉をつり上げて、今にでもドアを開けそうなオーラをただよわせた。


 私のことで、怒りにふるえている姿は、松浦くんが友達思いの証拠。でも、ここにいることがふたりにバレてしまってはいけない。
山本 萌
ありがとう、私は平気。松浦くんの優しい気持ちのおかげだよ
松浦くん
だけど……ああ、クソッ。今すぐドアを蹴り飛ばしてえ
山本 萌
気持ちに任せて動いちゃダメ。優しい気持ちが、台無しになっちゃう
松浦くん
……そうだな。ごめん
 眉が下がった松浦くんは、いつもの爽やかな雰囲気に戻った。


 少しほっとしたが、今度は小原くんの声が耳に飛び込んできた。
小原くん
確かに、君が山本さんより劣っているとは思わない
 普段と変わらない、落ち着いた声。
木下 貴子
じゃあ、どうして!
小原くん
だから、だ。俺は、そんな君を満足させることはできない。もし付き合ったとしても、君とは長続きしないだろう。もっといい男を探すことだ
木下 貴子
そんなことあたしは気にしないし、長続きしないなんて、付き合ってみなければわからないことじゃない! だから……
小原くん
俺は、そんな軽い気持ちで付き合えるような男ではない
 その直後、パンッと頬を平手打ちした音が響いた。


















 止めようとしたときには、もう手遅れだった。


 ものすごい勢いで、松浦くんが屋上に飛び出てしまった。