思い切って家をとび出したものの、行く宛はなかった。母のわからない所に行きたい、どこか遠くへ。
そんなことを思いながら、honeyworksの曲をイヤホンから流しながら歩く。いつの間にか涙が出ていた。
すると私の耳に、聴き慣れない歌声が聴こえてきた。男の人の声。とても透き通って、綺麗な声。
誰だろう、と思い画面を見ると
《歌い手八人 ノンファンタジー》
今のパートを歌ってたのは
______《そらる》さん
この人に会いたい。この人の歌を生で聴いてみたい。
そう思った私は駅に走った。
ターミナル駅まで、一本で行ったあと東京行きの電車に乗った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!