私のお母さんは私が赤ちゃんの頃他界した
兄弟もいなくたった1人の家族のお父さんが大好きだった
家に帰ると北斗がソファに座ってテレビを見ていた
おかえりなんて言葉はないけど北斗はこちらをちらっと見てくれる
リビングに入った時に私の携帯に電話がかかってきた
「もしもし、、、え──────────」
私はその場で崩れ落ちた
さすがに北斗が駆け寄ってきて
北斗「あなた?あなた?大丈夫?」
「お父さんが、、、、お父さんが救急車で運ばれて、、、意識不明の重体って、、」
北斗「えっ、、、、、、、、病院、病院は!?」
「○○病院」
北斗「あなた、いくよ、、、、ほら、はやく!」
私は北斗に手を引かれ家を出た
病院に着いたら看護師さんに手術室の前まで案内された
看護師「ここで待っていてください」
私たちはそこにあった椅子に座っていた
北斗は家を出た時からずっと私の手を握ってくれている
「北斗………ありがとう」
北斗「え?」
「………………」
ありがとうなんてたった5文字なのにそれが今はすごく恥ずかしかった
北斗との会話はほとんどないけれど
北斗が握ってくれている手の温もりから北斗の気持ちが伝わってくる
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!