第8話

第8話 ー黒屋敷に毎日顔を出して-
草むらから、ようやく出てきた
アーノアの背中には、ブーツの足跡が
くっきりとついてしまっていた。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
ひどいよ…そして、痛いよ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ごめんなさい、あの時は
ああする事しかできなくて。
セレネは、アーノアの背中の泥を
拭き取るとふぅと溜息を吐いた。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
今の人達って、セレネの家族?
アーノアの質問に、セレネはコクリと頷いた。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
義理・・の…だけどね
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
嫌な感じだな、セレネを大切に
してる様には、見えなかったけど___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
‼︎
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
貴方には、関係ない事よ!!
簡単にそんな風に言わないで!
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネの尖った声が、キーンと庭中に広がる。
アーノアは、恐る恐る
セレネの瞳の中を覗いてみた。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
___あっ
彼女の瞳の色は、輝きを失い…綺麗な青色も__
スゥーと消えて無くなってしまいそうだった。

セレネの中で、毎日一つずつ、小さな
希望や明かりが消えて行き…

それは、時間が経てば立つほど
再び明かりを取り戻すことの難しさを物語っていた。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ、また会いに来るから
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ちょっ、私の話…ちゃんと聞いて…
セレネが、再び振り返った時
アーノアの姿はなかった。

他人に向けて、こんなに牙を向けたのは
セレネ自身も初めてだった。



___そして、次の日
ミーシェ
ミーシェ
セレネ! 私たちの部屋を
ちゃんと掃除しておいてね?
ロゼッタ
ロゼッタ
わかったら、返事をする!!
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
はい、お姉さま
お母様
お母様
それでは、2人共…
お食事に行きますわよ
パタン___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
・・・
セレネは、言われた通り、モップを熱心に
かけていた。

その時だった。
コンコン___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
嫌な予感がしたので、しばらく
見ないようにしていたが、窓ガラスを叩く音が

いくら待っても鳴り止まないので、
セレネはとうとう窓を開けた。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
何!!
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ! こんにちわ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
また、貴方ね
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
今日は、セレネと色々話そうかと
思って来たんだ。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
2階に行きます。
セレネは、アーノアの話も聞かず
モップを持って、そのままスタスタと
2階に上がって行ってしまった。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ふう___何なのよ? もう
ガサガサ___
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
よいしょっと、セレネ!
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
きゃあ‼︎
驚いた拍子に尻餅を着いたセレネは、
窓の方に視線を向けると、屋敷の木を登って来た
アーノアと目が合ってしまった。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
そんな、高い所で危ないじゃない!
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
大丈夫、木登りは得意な方なんだ。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
得意な方って…フフ、何それ?
本当、変わってるわね。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
君ほどじゃないよ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
こんな会話を、毎日毎日続けた。
いくらセレネが冷たい態度をとっても、アーノアが
屋敷に足を運ばなくなる事は、決して無かった。
___何日か後
ロゼッタ
ロゼッタ
ねえ、お母様…最近セレネの
機嫌が良いと思わない?
ミーシェ
ミーシェ
ええ…私もそう思うわ!
何故だと思う?
お母様
お母様
知りませんよ、さあ2人共…
修道院に行く支度をしなさいな。
遅れては、なりませんよ。
ロゼッタ
ロゼッタ
はーい
ミーシェ
ミーシェ
わかっているわ
お母様
お母様
・・・
何かがおかしい___そう察した
お母様は、しばらくの間セレネから
目を離さない様に注意深く観察する
事にしたのだった。


続く▶︎▶︎▶︎