第10話

第10話 ー手紙の中の出来事ー
40
2020/05/27 13:39
子供の頃は、セレネとお父さん、そして
お母さんは仲良く3人で幸せに暮らしていた。
しかし…病気がちだった、セレネのお母さん
ノルアのため、父、ハルバートは

万病に効くと噂される幻の薬を探しに、
1人我が家から出て行ってしまった。
そんな時、ハルバートの元に
薬の秘密を教えてくれると言い寄った女が現れた。

その人こそ、セレネの義理の母、
マリーナ・レークンヴィストである。
お父さん
お父さん
薬の秘密を知ってるとは、本当なのか?
お母様
お母様
ええ、知っていますとも。
ただし…教えるには、1つ条件が
ありまして
お父さん
お父さん
条件だって?
お母様
お母様
はい。あの女と別れ、私との婚約を
結ぶのです。そうしてくださったら、
薬の秘密を教えて差し上げますわよ
お父さん
お父さん
な、何だと!? そんなこと、
できるわけないだろう
お母様
お母様
それでは、諦めてくださいませ
お父さん
お父さん
…くぅ
お父さん
お父さん
わかった。条件を受け入れよう
お母様
お母様
ふふ、さすが私の想い人。
さあ、こちらへ
お母様は、幼少の頃よりセレネの父、
ハルバートに恋心を抱いていた。

しかし、自分との恋は実らず、代わりに
ハルバートと結ばれたのは、ノルアという、
平民生まれの女性だった。

マリーナは、ひたすら時を待ち続け
ついに、薬の秘密と交換条件で、ハルバートを
手に入れたのだ。
お父さん
お父さん
さあ、早く薬のことを
教えてくれ…婚約までしたのだから
お母様
お母様
まあ! それは、出来かねます
だってまだお嬢さんに、私のことを
伝えていないでしょう?
お父さん
お父さん
貴様、いい加減にしないか!
お母様
お母様
誰に口を聞いているのですか!!
私は、貴方の妻・・・・なのですよ
お父さん
お父さん
時間がないんだ、このままでは
ノルアは__
そして、ハルバートは、心が裂ける思いで
「お母さんは亡くなった」と嘘までつき、
セレネを無理やりマリーナの元へ連れて行った。
しかし___
お父さん
お父さん
何が不満なんだ!
お母様
お母様
もっと優しくしてくださる?
でなければ、薬の秘密を教えて
差し上げませんわよ
お父さん
お父さん
頼む…お願いだから、もう
本当に時間が__
お母様
お母様
時間? 何のことかしら?
そもそも貴方は、私だけを見ていれば
よろしいのよ…永遠・・にね。
お父さん
お父さん
何を言ってるんだ!! 薬は?
お母様
お母様
薬? 知りませんね、その様な物
のことなんて…オホホ
お父さん
お父さん
俺を騙したのか?
お母様
お母様
なんて人聞きの悪い言い方
なんでしょうねぇ? 私だって、
さすがに怒ってしまいますよ
お父さん
お父さん
ノルア‼︎
お母様
お母様
行かせませんよ___絶対に
貴方は私だけの夫なのですから!
お父さんも、今のセレネと同じ様に
この物置小屋に監禁されていた。

そして、永遠にお母さん、ノルアの
元には、帰れず__悲しさと疲労で
疲れ切ったお父さんは、ここで

自分の日記に、セレネやノルアとの
大切な思い出を書き留めて亡くなってしまった。

セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
お母様…いえ、マリーナさんは
私たち家族を破滅に導いた張本人
だったんだわ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
お父さんは、私たち家族が
どうでも良くなったわけじゃなくて…
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
お母さんを1人で助けようと
していたんだ。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
今まで、恨んでしまってて
ごめんなさい__
セレネは、涙を指で拭うと
長いスカートを、思いきり引きちぎった。

ビリビリビリリ___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ここから、絶対に抜け出してみせるわ!


続く▶︎▶︎▶︎

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