第12話

第12話 ーお母様じゃない!!ー
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ‼︎
アーノアは、考えていた。
自分が彼女にこだわる理由を__

しかし、結論なんて出なかった。
広すぎる世界で、自分と出会ったのが
たまたま、セレネという女の子だっただけ。

彼女を助けたいに、理由なんか必要なかった。
目の前で、ひなが巣から落ちそうになっていたら
アーノアは、迷わず助けるだろう。

そして、セレネが助けを求めたならば、アーノアは
必死に走って向かうのだろう。

何が大切で、何が必要じゃないかなんて
難しすぎて考えられない___

ただ、自分の思った通りに
アーノアは、動いているだけなのである。
___物置小屋___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
アーノア! アーノア
壁を叩き、埃が舞う中
セレネは大きな声で叫び続けた。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
アーノア…ゴホッゴホッ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
埃が___
セレネにも、わからなかった。
あんなに煙たがっていた、アーノアの名前を、

今必死に呼んでいるなんて。
声が出なくなる、その時まで…

彼女は、たった一人の名前しか
呼べないのである。

助けを求められる、信頼できる人はこの世で
あのガータ族の青年ただ一人だけだった。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
アーノ…ゴホッ、ゴホッ
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ‼︎
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
セレネの名前を心配そうに呼ぶ
アーノアの声が、物置小屋のすぐ側で
聞こえた。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
本当に、来てくれたの!?
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
だって、セレネが何回も、
俺の名前呼ぶから
壁越しで、顔は見えないはずなのに、
アーノアが、今どんな表情で話しをしているか
セレネには、すぐにわかった。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
馬鹿!! なんで、本当に来るのよ
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
ええ!? だって、俺のこと
呼んだのはセレネでしょ
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
私、あんなにひどい態度
とってたのに___
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ズズ___
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
あれ? セレネ泣いてる?
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
泣いで、ない…わよ! ズズ___
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
鼻かんでる音、丸聞こえなんだけどな
アーノアは、「少し下がって」と
伝えると、近くにあったオノを握り
力一杯振り落とした。

ガシン___ガガガッ___バキバキ
ドスーーーン___
物置小屋の扉が壊れ、中から
セレネがふらふらと出てきた。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
出られた___私
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ! 服がボロボロだ
あの人達にやられたの?
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
違うわ、自分でやったの。
長いスカートじゃ逃げにくいと思って
軽くスカートの裾をめくって
見せると、アーノアが手で顔を隠しながら

アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
刺激が強いので、スカートの
裾を掴まないで下さい
と、お願いをした。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
何を考えているのか、分からないけど、
ちゃんと中には履いてるから平気よ
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
そういうことじゃないの!
セレネは___
お母様
お母様
貴方達‼︎ 何をしているの
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
お母様
お母様
セレネ、どこに行くつもり?
お母様の元へ戻って来なさい。
アーノア・オリファント
アーノア・オリファント
セレネ!
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
…お母様、いえ
マリーナさん。私は、お父さんと同じ
運命は背負いません。私は、貴女の
操り人形にはならない‼︎
お母様
お母様
な、なんですって‼︎
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
今まで、お世話になりました。
さようなら
お母様
お母様
そんな事を、言っていいと思っているの? もう二度とこの屋敷の敷居を
跨がせませんよ。
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
ええ、構いません
お母様
お母様
フフフ、聞き分けが悪過ぎすよ?
いい加減にしなさい‼︎
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
いい加減にするのは、貴女の方よ‼︎
私のお父さんを騙しておいて、よくも
平然と生きていけますね
お母様
お母様
何の話かしら?
セレネ・レークンヴィスト
セレネ・レークンヴィスト
さあね___
行きましょう、アーノア
お母様
お母様
ちっ、逃がしませんよ‼︎
油断した隙に、スルリと長い舌を伸ばした
マリーナは、今まで見たこともないような鱗が、
顔中に現れ、見る見るうちに巨大な大蛇へと姿を変えた。
お母様
お母様
オホホホホ! 本当馬鹿な子。
お前の様な奴は、もう要らないわ!!


続く▶︎▶︎▶︎