「そういえばさ、」
もう少しで田んぼ道を抜ける時、ふと思い出したように、夜音が話を切り出した
「月ちゃんとどうなったの?」
「え…んーっとね…特にない」
月ちゃんは別のクラスの女の子で、奏と部活が一緒らしい
奏は少しだけ月ちゃんに想いを寄せているとかいないとか
「夏休み、なんかしないの?ほら、もう少しでお祭りあるじゃん」
どうしても、なかなか進展がない2人にうずうずしだした夜音が、少し早口で話す
「いや…あんまり人が多いの苦手だし、」
「だし?」
「終わりが嫌だ」
「…ん?おわりがいや?」
夜音の頭にははてなマークが3つ浮かんだ
「なんか、終わりの雰囲気が嫌なんだよね」
「悲しいっていうか、なんかそんな感じがいや」
「…そっか」
夜音には奏の気持ちがよく分からなかった
よく分からない考えを持ってるのは、小学校から一緒なだけ分かっていたはずだったのに
「…って事は、8月下旬頃の花火大会も…??」
「いかない」
「…ですよね」
どうやら夏休みに会うのは部活動のみらしい
そんなんだから進展ないんだよなぁ…なってつぶやく夜音は、少しため息を着く
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。